うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

聖地チベット展(上野の森美術館)へ行ってきました

聖地チベット展(上野の森美術館)
はじめに九州に上陸したときから「行きたいなぁ」と思っていた聖地チベット ポタラ宮と天空の至宝』展覧会が上野にやって来ました! わーい、わーい。ということで、先週行ってきました。(来年の1月11日までやってます)
内容がかなり楽しめるものだったので、今回は目録のメモをどしどし書きます。観に行かれるかたは、目録を左手に、この日記を右手に持って行かれると、楽しさが増すかもしれません。


いつも、目録にこのように第一印象を書きなぐります。


「足の指先」「反り腰」「メタボ」「イケメン」って、本当に第一印象ってこういうことよね! というくらい淡白ですが、紹介します。役に立つメモ、というよりも、「共感用メモ」ですね。一人で行っても同行二人!


さてそもそもが。
ヨギにとって、この展示の最大の見所は、チベットのヨガ聖者「ミラレパ」さんの像です。
だったのです。
だったのです、が・・・。

そのまえに、おさらい!
もう、写真では、見てたのね何度も
サイズの実寸は、高さ20センチないんじゃないかな、そのくらいの大きさでした。
展示の前半のほうに、そのお方は坐しておられました。ぜんぜんフィーチャーされていませんから、なにげに、です。
で、この写真は、お顔の左側から撮られています。
カメラマンさんがこっちの角度を選んだのには、わ、わけがあったんです。



展示は、ミラレパさんに向かって左から右へ歩く流れでした。
お目当てのかたへ近づきます。一歩、また一歩。

そもそも、冷静に考えたら、写真の時点で気づけよって感じなのですが、
向かって左から見ると、

ものすごくアホっぽいんです。表情が。
なんともいえぬ。「頭ポリポリ」って感じで。
その動作と表情は、昔みたアレを思い出させるものでした。


(とある神社にて・・・)
 
 加藤:あんた神様かい?
 志村:あんだって?
 加藤:あんた神様かい? って聞いてるの。
 志村:とんでもねぇ! あたしゃ神様だよ。
    (がはは〜 >おばちゃん軍団テープ 参考サイト


この、「あんだって?」のときの表情が、まさにこの左側から見たときのミラレパさん。なのです。orz
でもでも、きっと、人の心を溶かしまくる(というか、粉々にする級の)このパワーは、やっぱりあれだけの修羅場をくぐり、すさまじい修行を経た偉大なるヨギだからこそ、だからこそ、に違いないわ。そう、あなたはヨギを超えた、神様だったのね!
ヨーガ・スートラ訳者でもある佐保田先生の、「あり得ないタイミングで繰り出されるオヤジギャグ」しかり、やはり偉大な人は、ものすごいんだ。いろんな意味で。きっとそうなんだ!(自己催眠中)


さてさて、そんなわけで、「想い続けていた愛しの人の表情が、志村けんドリフ大爆笑でやる "神様" そのものだった件」についてはここまで。


ここからは、この展示の目録メモにそって、うちこがそのテンションと見どころをお伝えします。
展示は全部で123、あります。


<予備知識とダイジェスト>
チベット密教は11世紀からのものなので、空海さんの密教時代(9世紀)よりも、うんと後です。紫式部源氏物語の頃から。
・全般、おしゃれで豪華絢爛です。仏像にトルコ石が埋め込まれていたりします。
・細かく見ていくと、おかしなものが見つかります。ギャグではなく、天然のようです。
・「蓮マンダラ」というものがいくつかあり、蓮の花の中に仏がいるのですが、その蓮の装飾が素晴らしい!
・「タンカ」というのは、いわゆる「掛け軸」です。
・「仏像バンダ(うちこ造語)」は、上丹田>下丹田 です。ここが日本とちょっと違います。
・いちばん最後に、「医学」の展示があるのですが、ヨギ的にはここがメインの見どころといっても良いでしょう。


それでは、目録に併せて書きますよ。長いです。
ちなみに展示配置は目録番号どおりではありません。前後します。
いくつかはこちらの公式サイトでも見られるのですが、うちこのメモはここに登場しないものばかりです。


<第1章:仏教文化の受容と発展(ミラレパ様もこの部に配置)>
■目録番号005:蓮マンダラ
これは、目録に「★」つけてます。素晴らしい造形物です。

■目録番号006:弥勒菩薩立像
なかなかセクスィーですが、後倒すぎます。

■目録番号007:ボードガヤー大塔模型
すんごい細かい! 素晴らしい。感動モノ。

■目録番号008:金剛宝座如来坐像タンカ
ちょーカワイイ! じっくり見てください。右下に、どさくさにまぎれて描かれている「耳掃除の図」を見逃さないで!(公式サイトの写真では視認できません)

■目録番号009:釈迦如来坐像
すばらしい像ですが、左右に居る人のうち「左の人」のサボりっぷりを見逃さないでください。サボりすぎです。

■目録番号010と011:いずれも釈迦如来立像
いわゆる日本の仏像のような丹田は、できてないっす(笑)。上丹田>下丹田

■目録番号021:四部医典
足の指先が見どころです。

■目録番号022:パドマサンバヴァ像
めちゃくちゃ反り腰です。痛かろう。

■目録番号023:ナイラートミヤー坐像
「空」を示す守護神さんだそうです。素敵です。

■目録番号024:ヴィルーパ坐像
メモに、「メタボ」とだけ書いてあります…。

■目録番号025:ダマルパ坐像
いっぽうこちらは、たくましい。

■目録番号026:アヴァドゥーティパ坐像
この像はイケメンですよ。カッコヨス!



<第2章:チベット密教の精華(豪華絢爛!な展示)>
■目録番号039:十一面千手千眼観音菩薩立像
ずばり、小林幸子 「美川さんには負けられないわ!」という気概抜群。『大晦日に拝みたい仏像世界一』の称号を勝手に与えました。

■目録番号042:チャクラサンヴァラ父母仏立像タンカ
うちこは日本の仏像でも「踏まれている餓鬼さん」に目が行ってしまいがちなのですが、このタンカの「それ」はかなりいいですよ。左の人の、「実はうれしそうな表情」がたまりません。右の人は、かなり無茶な角度でがんばってます。でも、完全に左の人にオイシイところをもっていかれています。その悲哀がみどころです。

■目録番号043:カーラチャクラ父母仏立像
これはもう、すごすぎて感動です。「すげーーー」って言っちゃったもん。

■目録番号047:ヤマータンカ父母仏立像
横の人たちが見どころです。特に右側の人たちのフリーダムっぷりは、ドアラ師匠並。

■目録番号075:カパーラ
高僧の頭蓋骨。なのにアート。日本にはない感性。



<第3章:元・明・清との往来>
■目録番号100:大慈法王坐像タンカ
角度によって、かなり「田中邦衛。ベストな角度を見つけて!

■目録番号107:八吉祥
これは誰かと一緒に見に行ったなら、いっしょにフキダシのセリフをつけて遊びたい、1時間は遊べそうな作品。仏像セリフ大喜利やるなら、これがいいなぁ。(参考:同僚の「しげこ」と中宮寺でやったような)



<第4章:チベットの暮らし>
■目録番号119:四部医典タンカ・樹木比喩図
医学アート。これかわいいよぉ。楽しいよぉ。

■目録番号120:四部医典タンカ・チベット医師マンダラ図
ドクター・マンダラを見たのはこれが初めてよ!

■目録番号121:四部医典タンカ・中毒関連図
これも、おもろいわぁ。きわどいネタではないけれど。

■目録番号122:四部医典タンカ・人体骨格図
西洋の解剖学図や中国の経絡図とはまたひとつ違う味わい。

■目録番号123:四部医典タンカ・四部医典継承図
なんか背骨の数が6個多いんだけど、大きな椎間板もカウントされているのかな。とか思ってみるとさらに興味深い。

【補足】解説をメモした、チベット医学に出てくる3つの分類
  ●ルン病:呼吸や血液の循環が悪い
  ●チィーパ病:心臓や肝臓が悪い
  ●ペーケン病:胃腸・関節が悪い

「ルン」はチベットの言葉で「風」というのを本で読んでいたので、ものすごく興味がわきました。
それをきっかけに、以下の面白いサイトを発見。
 ★ヒマラヤの国の不思議なお医者さんの話(2)
これの、「チベット医学に見る疾病の原因」の、身体医学・タントラの医学・ダルマの医学の図は、「ストレスが病気を引き起こす」なんていう、一般社会(っていうか、会社なっ!)で、ぼんやり勝手な自己解釈で主張・利用されていることよりも、ぜんぜん構造がしっくり、わかりやすい。「ストレスを生み出す原因として、あなたの自身の中で培養している憎悪の感情の存在を紐解いてみたことが、ありますか?」なーんて言ったら訴えられそうだにょ。(トホホでホヨヨだ!)
「ルン(風素)」 「チィーパ(胆汁素)」 「ペーゲン(粘液素)」 には、インドのアーユルヴェーダのヴァータ・ピッタ・カパに通じるものを感じるし。普通に考えたら、日本人は無理やりアメリカ人の真似をするよりも、宗教的にも風土的にもご近所のアジアの叡智に習ったほうがスッと入ってくるもんなんじゃないかな。うちのインド人師匠も「昔インドの暇な人たちが一生懸命考えてくれたんだから、いいからやりなさい。あなたたち、忙しくて考える暇ないんでしょ」って言ってるし。などと、いろいろ考えることの多い展示でした。


というわけで、これはねぇ、見どころいっぱいなんですよ。本当に。もう一回行こうかなぁ、と思うくらい。
最後の医学モノ展示は、アート的にもかなりカワイイので、ヤングがかなり食いついていましたよ。