うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

クリーブランド美術館展 / 人間国宝展(東京国立博物館)


いつもこういうのは不思議だなぁと思うのですが、海外においてある日本の作品をわざわざ持ってきたのを観てきました(笑)。クリーブランド美術館展
「雪が降った後だし寒いから空いてるかな〜」と思って行ったらふつうに混んでました。
東京国立博物館は年間パスポートを買っているので特に期待しない感じで観る展示もあるのですが、期待していなかったのにすごくおもしろいものに出会えました。たぶんわたしみたいな人は、みんな同じ感想になると思う。



 福富草紙絵巻、おもしろすぎ!



福富草子(福富草紙) とは - コトバンク - Kotobank より

室町時代、15世紀の絵巻。
貧乏のあまり妻の勧めで神に願をかけ、放屁の奇芸を会得して人々を喜ばせ、長者になった秀武という老人の話と、それを羨んだ隣家の福富という男が、秀武に芸の伝授を頼んだが、たばかられて貴紳の前で放屁に失敗、さんざんに叩きのめされるという話を上下2巻に描く。
絵は各場面連続して描かれ、詞書がなく、絵の中の人物の傍らに台詞が書き込まれている。滑稽卑俗な内容を持つ御伽草子の中でも、特に話の展開やリアリスティックな人物表現などに優れた代表的作例である。


屁の達人を真似して福富が失敗して帰宅する ⇒ 妻は顔を見ただけでもう金持ちになった気分で、家の古い着物などを燃やす ⇒ 福富に着るものがなくて裸でしょんぼり
というストーリーの絵が描かれているのですが、この絵がすごくおもしろい。絵だけで笑える。
この嫁がアホな恐妻なのですが、その様子もすごいし、放屁の奇芸で商売が成り立つ町の人たちの笑顔もすごい。こんなにおもしろい絵は見たことがありません。(目録No.11)




もうふたつ、おすすめがあります。
ひとつめは地獄太夫図」河鍋暁斎筆・明治時代:目録No.23)
現世の苦しみは前世の報いだから、という理由で地獄絵の描かれた着物をまとう美女。
Wikipediaの説明では

現世の不幸は前世の戒行がつたないゆえであるとして、みずから地獄とよび、ころもには地獄変相の図を繍り、こころには仏名をとなえつつ、口には風流のうたをうたったという。

壇密か!




さいごは、観ているだけで幸せな気分になった「朝陽補綴図」南北朝時代:目録No.13)
禅の「日常の中の修業」を描いた墨絵なのだけど、縫い物をしている僧が寄ってきた鳥に身体を向けて微笑んでいる絵。構図、筆のライン、濃淡すべて、観ているだけで幸せのカプセルの中に入れられたような気分になりました。






つぎは、
人間国宝展
「この展覧会では、国宝・重要文化財など歴史的に評価されてきた古典的な工芸と、現代の人間国宝の作品を一堂に集め、日本が誇る工芸の「わざ」の美をご覧いただきます。」という内容なのですが、人によって萌えポイントが分かれる展示です。女性は着物に、男性は刀に、という感じなのかと思うのですが、わたしが目録にぐりぐりとメモをしていたのはこれ。


片輪車蒔絵螺鈿手箱
ガンジス川に車輪が投げ込まれて浮いている〜 というような構図が不思議。平安時代のものです。



深山紅(しんざんこう)」松井康成
なにがこれどうなっててこんなに美しいの? というなぞの壺。



世の中には細かくてめずらしいものを創っている人がたくさんいるんですねぇ。
となりの展示「クリープランドの美術館展」の福富草紙絵巻のインパクトがすごすぎて、こっちの記憶が薄くなってしまったよ。
この日はここにあったチラシで横浜美術館の下村観山展が終わっていたことを知りました。美術展もまめにチェックせねばいかんなぁ。



福富草紙絵巻、観ておいで〜。(今月23日までやってます)