こういう個人の日記のような文章を読むと、人間に対して興味津々になる。
すべての人の頭の中にこういうものがあるかと思うと、人間に対して興味津々になる。
だけどすべての人がほんの一瞬の思考を言葉で捕まえられるわけではないし、それを文章としてアウトプットできるわけでもないし、黙っていたらわからない。
わたしはふたつの日付の日記のような文章に付箋を貼っていました。
七月二十九日
「亡くなった息子からかかってきた振込詐欺の電話」というなんとも言えない、こわ切ないニュースを目にして、まだ名前のついていない感情になった。
九月六日
遠距離恋愛をしている友人が「距離を置きたい」と言われたという話に癒された。
いちいち誰かに話したりしない、ちょっとしたことが毎日わたしにも起こる。だけどこんなふうに短い文章では書けない。記憶を言語で残せない。うわあ、これは、あの、その・・・なんだかなぁ。なんて思って忘れてしまう。
プ〜ンと顔の近くを通った蚊をパッと捉えるくらいの難易度だ。
ベースは素直な大人のリアクションばかりで、そこがいい。
圧倒的なセンスで、まあそれがどうにもずば抜けてる。すっかりハマって読んでいる。
中学生の頃に銀色夏生さんの文章をはじめて読んで、「 」が文字になってる! と思った時と似た感覚で読んでいます。