うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

自分の価値観てなんだろうと思ったときに、たとえばこんな10冊

やるからにはこんな結果が出なければみじめだと漠然と思いながら二の足を踏む。結果の善悪は社会環境や時代とともに変わっていくもの。だから基準は自分できめる。そうしたほうがいいと頭ではわかってるつもり。そして、そうこうしているうちに日々は過ぎてゆく。ふわっとふわっとすぎてゆく。そしてときどき、ハッとする。あら、やだもう今年もあと数ヶ月。

そんな振り返りは自分を追い込むだけ。おいしいカレーを食べたり本を読んだり、気楽に話せる人と話しましょう。本を読むなら、夢みたいなことを言わない人の言葉がいいんじゃないかな。「◯◯したければ、◯◯をやめなさい」と決めつけてくれる本はラクだけど、自分で考えたわけではないことを自分で考えた気になっちゃう。

だったら小説やエッセイや伝記やビジネス書を読むほうがいい。そんなこんなの思いから、こんなんどうでっか? と思う10冊を選びました。
今日紹介するものは、以下と重複しないようにしています。

重複OKにしちゃうと毎回ヒクソン・グレイシー宇野千代さんと叶恭子さんで3枠埋まってしまうので、重ならないように掘り起こしてみましたよ!
読書の秋ですしね。じゃじゃーん。ではでは、まいりまーす。

 

1. なぜ、真冬のかき氷屋に行列ができるのか? 川上徹也・石附浩太郎 著

わたしは思考錯誤と自分なりに導き出した結果とその理由が書かれたものの中で、この本がとても好きです。
結果として自分にこのやり方は向いていなかったということが淡々と書かれていて、ニーズだけでなく「適切なキャパシティ」を大切にしながら見極めようとしている。自分で範囲を決めてそのなかで精度を上げようとすることは、動き出してからやること。やってみる前からは決めようがない。そういうことって意外とどこにも相談先がなかったりするので、この本はいい本だなと思っています。

 

 

2. 正直 松浦弥太郎

このままのやり方、このままの価値観であと5年10年いられると思うなよという声が自分の中にわき起こるときに手にする本として好きな本です。世代間ギャップも今後ますます強くなることが予測される社会の中では、少し上や下の世代で葛藤している人の書くテキストを読んで、自分の精神年齢の幅を広げておくのが得策。

松浦弥太郎さんが高等遊民的でなくなったときに書かれたこの「正直」という本は、現実社会に向き合う方法を教えてくれます。現状維持にこだわらずに年齢を重ねること、自分で自分の見慣れたイメージを脱いでいくことの必要性をやさしく話してくれる。このエッセイはほかのおしゃれエッセイとはひと味ちがって、心がむさ苦しくならないように適度に野心を刺激してくれます。

 

 

3. 僕がコントや演劇のために考えていること 小林賢太郎

無理をしないことが是とされるなかでも、がんばりたいときがある。この火種を他人の影響で消してしまうのは自分を殺しているようなもの。わたしはそんなふうに思うことがあります。なので、やろうとおもうことはガッとやる。

精度をあげようとしている人を揶揄する人、足を引っ張ろうとする人をどうやって無視していくかはディフェンスとしてとても重要なことだけど、あまり世間で語られません。この本には、「ご意見」してくる人など、さまざまなノイズへの向き合いかた、ヒントがかなりリアルに書かれています。ふわっとしないってことは、孤独になるということ。そういうことが書かれています。

 

 

4. チーム・ブライアン ブライアン・オーサー

さまざまなノイズへの向き合いかたノウハウといえば、これ。ただのメンタル・コントロールではなく国民性の背景を紐解く内容であるところがおもしろいです。カナダ人の目から見たアジア人について書かれているので、儒教社会ノイズというのかな、そういうものの存在を、ある種のあきらめを持って見て、冷静に対処しようと思える。もしも山本七平がカナダ人だったら… みたいな本です。

 

 

5. 自分で「始めた」女たち グレース・ボニー著

日本の女性の経験談て、「たまたま機会に恵まれて」「ご縁があって」というフレーズがよく出てきます。謙遜が美徳とされるのもありますが、このフレーズの便利さはそれに加えて、選択の確度への言い訳を兼ねつつ嫉妬・妬み・そねみへのエクスキューズにもなること。一粒で三度おいしいフレーズだからなんですよね…。
この本は、足を引っ張る文化(村社会っぽさ)と意識的に距離をとっていく雰囲気があるのがよいです。具体的にそういうことが書かれているわけではないのですが、それがビジュアルで伝わってきます。

 

 

6. 月と六ペンス サマセット・モーム

安心安全の呪縛について自問自答するのにとてもよい小説です。この本を読むと、性格が悪くなることについてポジティブになれます。なんか日本語としてはおかしいかもしれないのだけど、「嫌われる勇気」ってこういうことじゃないかなという話。イギリスの小説のこの種のエグさがわたしは好きです。

 

 

7. 空海三教指帰」 加藤純隆・加藤精一 翻訳

空海さんが20代の時に書いた宗教小説です。そんなのあるの? と思うでしょ。あったんですよー。空海さんはめちゃくちゃ偉くなる前からこんな視点を持っていたのか! とびっくりする内容です。グローバルな視点というのは外からのインプットよりも内省・内観から生まれてくるものだというのがよくわかります。源氏物語よりもうんと昔に書かれたもので小説でなく宣言書みたいな扱いになっていますが、この訳で読むと小説のように読めます。なんでこれ小説扱いじゃないんだろ…。

 

 

8. ダウンズ&アップス  本谷有希子 著(「嵐のピクニック」収録)

自信満々で他人に寄りかかる人を、寄りかかられる側はどんな目で見るのかというのが書かれている小説です。
寄りかかり先を探してセミナーやサロンをジプシーのようにさまよう人や、グルを探し求める弟子など、そのからくりを揶揄する文章はたまに見るけれど、こっち側からの視点のものは珍しいのでとても印象に残っています。

 

 

9. あなたを選んでくれるもの ミランダ・ジュライ

人生の選択に対するネガティブな感情を確認する方法を知らなかったわたしにそれをやって見せてくれた衝撃的な本。ただの本じゃなくて、「やってみせてくれた」本。
これを読んだのはちょうど去年の今頃で、わたしはわたしのなかの自分に対して正直に言葉を探す方法を、この本をきっかけに得たように思います。封印したくなるような「いやらしい自分」を敵にしない、悪魔扱いしない方法ってあるんだろうかと考えたときに、この本はなにかを見せてくれます。それも、おしゃれな感じで。なんかいいのです。

 

 

10. 真の独立への道 ― ヒンド・スワラージ M.K. ガーンディー 著

これは二度読んでいるのですが、40代の頃にガンディーの書いたQ&A型テキストです。
自分の弱さにとことん向き合って「ずるい考え」「せこい考え」を選り分ける作業を続けたのちにあの運動とインドの独立があるかと思うと、ガンディーの印象が変わります。そういえば元弁護士なんだよな…、となる。ふわっとした自己弁護に終止符を打つのは大変だけど、偉人ってここまでするのね…という実例を本人がQ&A形式で書いている、設定からしてとてもおもしろい問答です。

 


わたしはこれらの本を読むことで、自分の中にある「こうなりたくない」「これはダサいからいやだ」の要素をかなりリストアップできるました。自分の「こうなりたい」を他人のイメージを借りずに探すのって、むずかしくないですか。見つけた気持ちになっても、誰かが決めたことを引用するみたいになって、さらに落ち込んだりして。
わたしは「こうなりたくない」をとにかくたくさん集めて自分の価値観をあぶりだして行くことが、遠回りかもしれないけれども後悔しない近道ではないかと思っています。今日はその視点で選んでみました。

読書の秋の、ご参考までに♪