うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

地方創生大全 木下斉 著


地方創生のためにありがちなボトルネックは些細なイベントでもあてはまる。
結局あってもなくてもよかったかのように感じるイベントにありがちな経緯集のよう。いろいろなことを嫌われても引き受けない人は、きっとこの本にあるような考え方をしているのじゃないかな、と思う。
何度か出てくる、この言葉。


 「失敗した情報」は伝わらない


とくにSNSで告知や報告をすることが定常化してくればくるほどそうなる。
自慢話をしたいから "よさげ "に見せるのであって…そんなの仕組みとして楽しげに見えるようになるのは当たり前なのに、どうして「ああいうの、うちも、やったほうがいい」なんて話になるかわからない。ってこと、ありませんか? この本にはそういう不思議のあれこれが、「地方創生」の事例で語られています。


わたしは「こういうことは、可能だろうか」「こういう話があるからやってみようかと思うのだけど」みたいな質問や相談には、「やってみたら? やってみなければ、わからない」としか言わないと決めています。それは嘘にならない範囲でポジティブに返答するテンプレートがこれってだけなのですが、それは相手が "いい話しか聞きたくないことがわかっている" から。
実際はこの本にあるように、わたしも以下のように思っています。

 本気で事業に挑戦する人は、そもそもビジネスコンペなどには参加せず、すぐにやり始めます。(69ページ)

「ご縁で」とか、「お声がけいただいて」などのフレーズで逃げたい気持ちはわかるのですが、長期的に見たらそのプライドで苦労をすると思うんですよね…。
この本にある、ふるさと納税が地方衰退要因となりうる要素の説明も、まったくそのとおりとうなずく内容。読んでいると「これはあれにも、これにも当てはまる」ということがたくさん書いてあり、第3章の人口問題の解説がすごくよいです。


わたしは「こんな時代だからこそ」というフレーズに「気づき」とか「学び」とか「メッセージ」という単語が組み合わさるといっきに冷めるのですが、こんなふうにうすら寒い気持ちになる理由がこの一冊にたくさん書かれています。イベント事業をしている人や生産とあわせて小売業をしている人には、ヒントがいっぱいです。「やらないよりは、やったほうがいいに決まっている」と盲目的に思うところからなにかを始めようとする人には耳の痛いことばかり書かれています。


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