はあちゅうさんの本は読んだことがありましたが、DJあおいさんははじめて。
よくよく読むと二人の主張は立ち位置が逆の場合が多いのだけど、「表現する」というエネルギーの部分で共感しながらぽんぽん話が進むところがおもしろい。たまに、こういう女性たちのおしゃべりみたいなテキストが読みたくなります。
わたしは年に何度か、わざと土日の早朝のマクドナルドへ行って高校生・大学生のボキャブラリや言語感覚を拾いに行くのですが、「今日はいい話聞いちゃった」と思うテーブルの近くになったときと似た気分。
DJあおいさんは、なんとなくマッチョな感じのする人という印象。
以下のアイドル論は気になったけど
未成熟なものを売り物にすることに納得いかないんですよね。完成させたものを売り物にしなさい、って思ってしまう。
わたしは「支配させてあげる(仮想)」ことが商品の主軸なのだから、完成させたら成り立たない市場なのだと思っていました。
でもそういう「未成熟なものを売り物にする」というのが定着する土台にうんざり、というのも、すごくわかる。完成されたものって、どこだろうとも思う。昔の山口百恵の歌は、百恵ちゃんの歌唱力自体は最初から完成されまくりなのに、歌詞のほうはあなたが死んだら私も死ぬとか、あなたが望むならとか言ってておどろく。
はあちゅうさんが「頑張りたいけど頑張れない」という人に「それなら頑張れないまま人生が終わると思います」と返したら逆上する人がいたという話があって、たいへんだなこりゃと思いながら読みました。そこに「わたしも頑張れないけど、頑張っているんです。あなたと一緒です」みたいな回答を求めるのは、相談相手を間違えてる。
この二人の会話を読んでいて面白かったのは、この女性たちは今どきの人なのに、昭和的なマーケットを避けられない感じがリアルにある、ということ。
そして、そのボヤきを聞くのはたいへん楽しく、励みになるということ。
たまにひょいとでる、はあちゅうさんのこういう繊細さも好き。
色んな人たちの色んなつぶやきの中に、自分の柔らかい気持ちがポンッて入るのは嫌
このへんの葛藤はインターネットのさびしさでもあって、こういうのは、どうしたらよいのだろう。
なんとなくおしゃべりしている感じで読めるこういうテキストは、なかなか親しい友人とお茶にも行けないってときによいです。
(あっという間に終わってしまうので、価格に対する文字数はすごく少ないです)
▼Kindle版