いつか読もうと数年前から思いつつ、思っている間がまさに働きかたを移行しているときで、いま読んだらまるで予言の書のようで驚きました。
タックス・ヘイブンのことも序盤でさらっと出てきて、ものすごく小気味よく進みます。以前ちきりんさんの「Chikirinの日記の育て方」「社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう!」という本を紹介しましたが、それに近い要素に加え、この本は20代の人へ向けたエールになっているのがすごくよいです。ただ脅かして終わり、みたいな本ではない。
わたしは20代後半からなんとなく「40歳定年説」を意識していて、40歳になったら「組織に忠誠心を示しながら働く」というよりは、同じ仕事でも「案件に忠誠心を示しながら働く」という状態にしたいと考えていました。なんとなく、そうでないと身も心も居心地が悪くなるだろうという漠然とした恐怖心を持っていました。
実際はそれよりも早いタイミングで移行をはじめ、フェリーに乗っていたのがモーターボート、手漕ぎボート、素手で泳ぐ… というふうにだんだん海の水にじかに触れていくような、そういう仕事のしかたに移行してきたのですが、そんなこんなのあとに読んだので、ここ数年を振り返って同窓会に参加したような気分になる読書時間でした。
わたしが恐怖心を理由に本格的に40歳定年説を意識したのは、この本にあるまさにこんなことを見てきたから。
若者に「おまえは何をやりたいのだ」と問うている大人の方(たいていの場合、40代以降のベテラン・ビジネスパーソン)にも、「スゴクやりたいことは特にない」という人がたくさんいます。
同世代にこういう人が出はじめてから、頭とメンタルの体力を考えたときにこの問題が急にぐわっと浮き上がってきました。
この本には、寿命は誰にもわからないのだから、働くこともプラクティカルに考えていこうよ、ということが書かれています。
わたしは頭と身体が終焉していくタイミングをなるべくシンクロさせていくことが目標なので寿命は意識しないのだけど、結果として働きかたについての考えかたはちきりんさんと同じような結論になっています。以下のような見かたは、とてもすばらしいと思います。
いずれにせよ「誰が長生きするかは、誰にもわからない」のですから、最初から仲のいい友だちをたくさん作って備えるより、たまたま長生きした人たちで仲良くやっていく力を鍛えておく方が、よほど大事です。
90歳まで生きる人が増えているのだから40歳になっても人生折り返しとは言えないし、70歳になっても「老い先短い」とか言って我欲を正当化しようなんてせこい考えは通用しない、そんなことを口にする相手もいない、というのがわたしの現実。この本は20代ではないわたしにもたいへん励みになりました。
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