うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

10年つかえるSEOの基本 土居健太郎 著


感動的なまでにSEOなるものが説明されていて、読後に顔の筋肉が上がって引き締まった感すらある。すばらしい書です。

104ページに、SEOをテクニックととらえることの根底にある考え方がじょうずに言語化されており、(1)ホワイトハットSEO、(2)ブラックハットSEO がこんなふうに説明されています。

(1)不完全なシステムでも正しく情報やその価値を理解できるよう、その不完全さを考慮してサイトを運営する
(2)システムが不完全であることを利用して、検索エンジンにサイトの価値が高いかのように見せかける対策を施す

この文章の、「システム」を「人間」に置き換えて読むと、Googleさんのやろうとしていることがわかると思う。
SEOは、結局は人間をどのように捉えて、どのように接するスタンスでいるかというところが試されている。それを、この本はものすごくわかりやすいストーリーで語ってくれる。


1と2の文末が「運営する」と「施す」であることも、見落とせない大切なこと。
「施して見返りがないなら、もういいや」という思考に結局はたどり着いてしまう程度のスタンスなのか、そうではないのか。ここは少しマラソンに似ている。
わたしの体感では、「1年程度の継続で見返りを求めたり自己顕示欲の満たせる形を求める人をも、Googleさんはふるい落とさざるを得なくなってきた」という感じに見える。かといって、なら半年で見返りを求める人にチャンスを与えないかというと、ちゃんと成果が認められたりもするところが、Googleさんのすばらしいところ。



検索システムって、法則(ダルマ)なんですよね。特定の神じゃない。
だから、「神に近づく方法を教えて」と言われたら、「練習しろ! 日々練習しろ!」というベスト・キッド状態になって、「先生、わたしはいま何を学んでいるのでしょうか」と問えば「attitude」のひとことが返ってくる。SEOは、そういうプラクティカルなもの。
(上記の流れはこの映画で学べます)
SEOの最後は、O。「technique」ではなく「optimization」であることを理解するかというのは、世の中をどう見ているかということでもある。
たとえば、こんな見かた・考えかたをする人がいるとします。



【1】世の中には優れた人がいる。楽しい!

【2】世の中には優れた人も軽薄な人もいるけど、自分がよい状態でいられるように心身のメンテナンスを続けていこう。

【3】世の中には優れた人も軽薄な人もいるけど、大多数は軽薄だから、まずはそこで評価を得よう。
  →【3a】その評価を糧に、優れた人に近づいて行こう。
  →【3b】うわぁ評価の数増えた! 気持ちがいい! ホンモノじゃなくてもいいから、もっと欲しい! → 以後はドラッグと同じ。

【4】せっかくやっても軽薄な人に足をひっぱられたり、軽薄な人にあわせたほうがいいというのなら、やってもしょうがない。

【5】世の中は軽薄な人ばかり。ああいやだ。



Googleさんは善悪二元論に陥らないから、【1】と【5】は重要視しない。【2】と、【3a】を見落とすことのないように、注意して見てくれています。大切なことは、たとえばこのブログをここまで読むような人であれば、落とし穴が【4】にあること。【4】のような思考をしているうちは、どうにもならない。
これはそのまま、ヨガへの向き合い方にもいえること。(Googleさんって、クリシュナさんみたいなんですよね。主体性を見てる)


この本は、こういうことをとてもまろやかなトーンで説明してくれています。
冒頭にも書きましたが、感動的な構成力と言語化、かつアートワークもかわいい。この本まるごと一冊がSEOを体現している感じ。
たいへんおすすめです。


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