実際にだまされたフリをしてギリギリのところまでいってみたりしたことを元に書かれています。ひとつは、実際だまされた例もありました。著者さん自体が俳優になりたくて、だまされた案件が「オーディション」。すごくリアル。
ボランティアや慈善系の案件でだまされることを「思いやりのオウンゴール」といっていたりして、うまい。スピリチュアルの見本市まで行ってチャネリングされてみたり、とにかく実例が体当たり。デート商法(恋人商法)の話を読んでいるときは、相変わらず不思議な文章を書く木嶋佳苗という人のことを思い出したりした。
この本は少年少女向けに淡々と実例と注意事項が綴られていくのだけど、最後がすごい。さすが「よりみちパン!セ」。
<178ページ すべての人が、だまされる より>
たとえば、ふだんはキャッチセールスの勧誘なんかには立ちどまらないのに、なぜかふらふらとついていってしまったという人の話を聞くと、「そのとき、たまたま何か新しいことをはじめようという気分が高まっていた」とか「上司に仕事ぶりをほめられ、ヤル気になっていた」とか、前向きな気持ちのタイミングで声をかけられて、つい……という人が、意外にも多いんだ。
もちろん、それとはまったく正反対の答えが返ってくることもあるけどね。それは「失恋した直後だった」とか「上司に怒られて仕事をやめようか悩んでいた」とか、すごくマイナスな状況がその人の身に訪れていた場合にも、人は知らない人からのアプローチに応じてしまいがちだったりする。
人は、前向きなときにも、後ろ向きなときにも、両方だまされる。
どうして正反対の状況でも同じことが起こるのか、そのメカニズムがわかるかな?
じつは、「後ろ向きな気持ち」って、根っこは「前向きな気持ち」が必ずあるから。そう、「後ろ向き」だから、人は「前向き」にもなれるんだ。
このあとの説法が、イイ! 気になる人は、続きも読んでみて。
この本は、さらに掘り下げる。
<201ページ 「だまされやすい人」って、どんな人? より>
じつは、だまされやすい人の多くは、「どうして?」という疑問をもたない傾向がある。いや、正確にいうと、疑問はもつのだけれども、その思いを最後までもち続けないで、途中で放り投げてしまうんだ。
この次の章が「疑問をもち続けられないのはなぜ?」という内容で、そこでズバッと「ものごとを深く考えないことのほうが、ラクだろ?」という展開になっていく。
この本すごいわー。
いろんな業界に「深く考えないことのほうが、ラク」な道を選ぶ人向けの商品が用意されている。この著者さんもお金を払った「実はみんなが合格する仕組みのオーディションで15万円、仕事を得たければスキルアップのためにさらに講座へ通うように……」って、なんかヨガ・インストラクターの世界でもありそう。
気をつけて〜。