越後のミケランジェロといわれる、幕末の名匠「石川雲蝶」の彫刻を拝みに、永林寺へ行ってきました。
写真撮影禁止なので図録の写真を載せますが、とにかくすごい。
本堂の欄間一面のほか、香炉台、燈籠台に至るまで、びっしり細かく奥行きのある彫り。
このものすごい博打好きの彫り師は、当時の和尚さんとの博打に負けてこの仕事をしたという。
この和尚さんもなかなか面白い人で、作品の説明にこうありました。
■天女(吉祥天)
「男の背中は請求書 女の背中は領収書のように彫刻せよ」と弁成和尚に命令された天女です
このお寺の欄干の天女の彫刻は、裏へ回ってみるとなまめかしい白い背中が掘られています。
くりぬきの立体彫刻が欄干にはめられたような状態です。
お酒を呑みながら、博打を打ちながら、粋な会話が繰り広げられていたんだろうな。
そんなことを想像しながら、そのあまりのカッコよさ、こころの色っぽさにドキドキする。
彫刻だけでなく、板絵、書院障子にまでその才能は発揮されまくりで、いいのかというくらい、美術館以上の感動でした。
欄間に施された「波と菊」のモチーフは「水に菊」。「見ずに聴く場所である」ということだそうです。(ご住職談)
こんな模様。
ものすごい積雪の翌日の晴れた日に行きました。その日は雪の照り返しが強く、とても彫刻がよく見える状態だったそうです。
自然と一体化した場面で見るものは、遺跡を眺めるのと似ている。
言葉では言い表せないというのは、まさにこういうもの。
圧倒的な手仕事。圧倒的すぎる。とことん働いてもぜんぜん足りないと思う。
このお寺はとても商売っ気満載で(拝観料は良心的です)、なかなか面白いお寺なのですが、インターネット上にさまざまな情報があると思いますので、そのへんは割愛します。
雲蝶のパーソナリティの魅力については、このあともう一つ別のお寺へも行ったのでそのときにあった解説をご紹介したいと思います。
足の届く場所へお住まいのかた、もしくは魚沼方面へご旅行の際は、ぜひ。
ツアーもあるみたい。新潟県で親孝行するなら、ここですよ。
生きているうちに知ることができて、見ることができてよかった。
感覚は、どこまでも研ぐことができる。心は、どこまでもやわらかくなれる。
久しぶりにそんな思いを起こさせる技に出会いました。
▼このほかの写真や記録のインデックス
●新潟県で石川雲蝶の彫刻作品をめぐる