うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

優雅で野蛮な女になる方法 光野桃&齋藤薫 著

春から中国に留学しているヨガ友のユッキーから、長期でどっさり借りた本の中の一冊。ユッキーの家の本棚は、うちことぜんぜんかぶらず、非常に女子度が高い。そんなわけで、こんな本も読むことになります。


1998年7月から2001年1月まで雑誌「フィガロ・ジャポン」で連載されていたエッセイを本にまとめたもの。同じテーマで、「私はこう思うの、あなたはどう思う?」「そうね、私は・・・」というお手紙のやりとりのような構成です。
齋藤薫さんは美容ライターの人だ、と思って知っていましたが、光野桃さんのことは知りませんでした。ピックアップしてみると、光野桃さんのエッセイの方が多くて、お稽古事から感じたことを日常への意識確認にあてはめていくスタイルが、「あ、この人も修行転換型カルマ・ヨギだ」と思いました。
わくわくしますね!


まずはあとがきから一部、引用紹介します。

<189ページ おわりに 齋藤薫 より>
 女性はみんな、ひとつの体の中に優雅と野蛮を両方持ち合わせている生き物なのでしょう。その比率に多少の個人差があるだけで、誰もが両方持っている。ただ、服や価値観や人のタイプにもある"流行"に振り回されるうちに、自らをどちらかへ大きく傾けていってしまいがち。そういう時に、見近に両方を上手に合わせ持っている女性がいると、その偏りから救われる。優雅すぎることの退屈や、野蛮すぎることのリスクに何となく気づかされる。

「優雅すぎることの退屈」と「野蛮すぎることのリスク」というのは、表現としてわかりやすいなぁと思いました。ちなみにうちこはヨガに「いつも普遍的であることの贅沢」を感じているので、優雅な退屈も野蛮なリスクも感じなくなってきています。このままいくと、どうなるのかなぁ。



さてここから本編、いくつか引用紹介いきます。
本編の方は、わりと女子度高いテンションで共感したところもあります。

<「日本の女、パリの女」齋藤薫 より>
日本の女性は結局のところ、形が先。心のシックはあとからでもいい。それで辻褄が合えばいいと思ってる。以前はそれじゃあマズイと思っていた私も、いまはそれでいいような気がしています。というのも、"形"には "心"までを変える力があるから。形を整えると、精神まで浄化され洗練されると信じるからです。「形が先だって大丈夫!!」いっそいま、そう言ってしまいません?

"形"には "心"までを変える力があるって、「動かすのは、体のなかの心です」ってのと一緒だなぁ。ヨガだ。

<「日本の女、パリの女」光野桃 より>
 友人の心理占星術家の鏡リュウジくんも言っていたけれど、「魂は現れたがっている」んですって。つまり形に。形を作っていくことで、現れたがっていた自分の "心" に気づくっていうころもあるのだと思います。
 私はね、いまは服よりも、たとえばどれだけ繊細に髪に
手を掛けられるか、肌に一粒でも吹き出物がないようにするかとか、"形" にこだわることで心の奥行きが決まっていくような気がしているの。形と精神は環のように繋がっているんじゃないかしら。

「形を作っていくことで、現れたがっていた自分の "心" に気づく」って、ここも、アーサナをとっているときに感じることに似ています。

<「インテリア」光野桃 より>
 何が好きで何が嫌いかがはっきりしていないと、インテリアって難しいよね。外国人の家をたくさん取材してきて思ったことは、好き嫌い自体が、すでにその人の中で調和をもっているんだなぁ、ということ。日本人の場合、インテリアに限らず、自分の好き嫌いを徹底的に追及していくという習慣がないから、あいまいでバラバラなものになってしまうような気がします。

好き嫌いすることを悪とするような社会背景もあるように思います。うちこはいつも食べ物のオーダーを「決めるのが早い」と言われるのですが、瞬間の気分や調和にたずねて答えを持ってくるまでの速度が速いのではないかと思います。こういう速度や確度は修練で身につくと思いますが、そうではない背景もあるように思います。

<「仕事1」光野桃 より>
 仕事って、結局自分がどれだけ学べるか、成長していけるか、そこにかかっているのではないかしら。一日八時間以上も仕事に費やしているのだから、それをすることによっていい女になれないんだったら意味がない、とずっと思ってきた。そしてその根本にあるのは、人に尽くす、ということだったような気がします。

カルマ・ヨーガですよねぇ。

<「仕事2」光野桃 より>
仕事って、どんなものでも人と人との関わりを学ばせられているものだと思うのです。それが面白さでもあり、大変さでもあり、また感謝したいところでもあるわね。

Yogic Wayな日常の日記にも書きましたが、うちこも、日々そう思います。

<「プチ・ブル」光野桃 より>
 女もある年齢を過ぎると、気持ちの在り方が容姿にかなり影響するんだね。不満がない生き方をしている人の輪郭は、おばあさんでもスッとしてきれい。ああ、気をつけなくては、と思った一夜でした。

「ブル」は「ブルジョワ」と「ブルドッグ」がかけられた話の流れです。輪郭って、人柄が出ますよね。身体でもそう。シンプルな服をカッコよく着こなせる人というのは、やっぱり身体の輪郭が違うように思います。

<「プチ・ブル」齋藤薫 より>
 私はプチ・ブル志向になると、無理やりに「私は誰より幸せ」って顔をしますね。不幸そうなプチ・ブルっていないもの。人前で、いつもいつも人一倍幸せそうにふるまうには、誰よりも華やかに大きな笑顔を作っていないといけないから、やっぱり顔は凝ると思う。本来 "幸せ" って他人に披露するものじゃないしね。笑ってなくても顔が微笑み顔だったりするおばあさんは、実際アゴがほっそりしているもの、ってことで、アゴの細いおばあさんになるのを、次の目標にしますね。

「本来 "幸せ" って他人に披露するものじゃないし」って、ほんとうにそう。不幸もそうね。

<「イカる」光野桃 より>
 薫ちゃんも雑誌のコラムで「夫婦喧嘩の極意は、結論を出さない議論がどれだけできるか」と書いていたけれど、夫婦に限らず、喧嘩やトラブルをうまく解決するためには、まずのろのろと時間をかけてみること、そして違う角度から見てみることだとは思うのです。
 とは言ってもねぇ、この不況の中で、自分の身を守ることばかりに汲々としていて、他人のことなど構っちゃいられないという人のなんと多いことか。殺伐とした保身だらけの世の中に、イカったところで空回り、体に悪いよ、といった感じです。

ここは、とっても印象的です。「結論を出さない議論がどれだけできるか」って、インド人みたいなこというなぁ。

<「オレさま」光野桃 より>
(オレさまには「マッチョ・オレさま」と「インテリ・オレさま」の二種類がある、という話の後で)
 二つの「オレさま」に共通するのは、自分からは絶対に挨拶をしないことです。挨拶をすると、偉さが減ってしまうような気がするからです。そんな毎日は、さぞやストレスが溜まることでしょう。強さの弱さより、弱さの強さを知り、オレさまが自然に生きられる日本が来ることを祈ってやみません。

うちこも昨日「あたりまえに身体の向きもコントロールできなくなるようなエゴに包まれた毎日は、さぞやストレスが溜まることでしょう」と思ったばかり。20代の子たちの体癖がとてもやわらかなので、オレさまさんは、ものすごくダメなアスリートのように見えます。

<「映画2」光野桃 より>
 私自身、昨年からお能の稽古を始めたんだけれど、もうそのあまりにもゆっくりなスピードに完全にはまってしまった。あの世界の「ゆっくり」は官能的、そして麻薬のような陶酔感があるの。そういうものを知ったら、スピードだけを追求するなんてつまらなくて仕方がない。皆、求めているものはわかっているのに、いまはカラダがついていかないということなのかもしれませんね。

「ゆっくりの官能」には、中毒性がありますね。ほんと。

<「十七歳 2」光野桃 より>
 ところで話は変わりますが、先日ある番組で、有森裕子アトランタ・オリンピックで銅メダルを獲った時の録画を見たんです。あの有名な台詞、彼女は「自分を褒めたいと思います」と言ったんだよね。それが世間では「褒めてあげたい」と喧伝されていた。私もそう思っていたから、本当にあんな言い方したのだろうか、あの女性が……とずっと不思議に感じていたのです。この「褒めたい」と「褒めてあげたい」という言葉の間には、たった二文字でも大きな隔たりがある。マスコミがこぞって「自分を褒めてあげたい」と報道してしまう社会。なにかそこにも問題の根を見るような気がしてならないのです。

同じことを当時思っていて、「こんなにもこんな変換を自然に受け入れる人が多いの?」と思っていたので、ものすごく共感しました。

<「十七歳 2」齋藤薫 より>
有森さんが自分を褒めてあげたいと言ったと全員が思っちゃうデッチ上げも怖いけれども、自分を褒めてあげた人が元ゲイと結婚しても本当にいいのか?!なんて全員で引きずり降ろす狂気の糾弾には、背すじが寒くなったもの、いちばん視野が狭いのはマスコミです。

この傾向はいま、もっともっとエスカレートしている。おそろしい洗脳メディアだと思う。


年相応の女子OLとして共感して読んだ本は久しぶりかも。いつもは、自分の中の男性的な部分やインド人な部分、ビジネスマン的な視点で心に親和する本ばかり読んでいるのだなぁ、と気づきました。
でもやっぱりこれ、カルマ・ヨーガ本です(笑)。

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