うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

図解雑学 空海

図解雑学 般若心経」に続いて、こちらも借りてみました。表紙の肖像画がやけにハンサムですが、この本のなかで北大路欣也さんが演じた映画「空海」の写真が使われていたりすることから、これは北大路さんのイメージかと思います。なんとなくマツケン似ですが。
このようにやさしく書かれた本でも、多才すぎてかなりつめこみ気味。ひとつひとつに深い経緯があることでも、はい次、はい次、とトピックが重なっていきます。そのくらい、政治的にも文化的にも激動の時代だったのでしょう。
今回も、いくつかメモしたいと思った箇所を紹介します。図解本なので、ところどころ、写真とともに。


<57ページ 遣唐使船の派遣 図>

空海さんは804年、第16次遣唐使船。
こうしてこの表を見てみると、本当にまともにたどり着いて帰ってこれる比率が少なかったことがわかります。

<74ページ 波切不動が現れる より>(かいつまみリライト)
空海が明州から帰国の途についたとき、難航で大切な経典と法具が投げ出されそう! というときに荷物の中から取り出した不動明王の手が動いて荒れ狂う波を切り、海を鎮めたそうな。
この不動明王がのちに波切不動といわれるようになった。

高野山のバス停の名前で覚えている波切不動。「波切」というのはこんな意味があったのですね。


<83ページ 薬子の変前後の時代 図>

天皇、宮廷ドロッドロの時代。ものすごいですよね。鎮魂というニーズが発生するのも納得。


<93ページ 最澄とのすれちがい 図>

これは、実践行から空海さんを見ているヨギ目線でも、とてもよいまとめ方と思いました。

<144ページ 胎蔵界曼荼羅金剛界曼荼羅 より>(かいつまみリライト)
大日経にもとづく胎蔵界曼荼羅は、大日如来の理(ことわり)の世界、宇宙の慈悲が広く人々に伝わり、それに気づくさまざまが表現されたもの。
金剛頂経にもとづく金剛界曼荼羅は、大日如来の智の展開を示したもの。人が仏に至る方法と、揺るぎない悟りの意思が示されている。

等々力不動尊のお坊さんも、曼荼羅についての説明でこのように話されていました。

<162ページ 宇宙のあらゆるものは六大で表される より>そのまま引用
 密教では、宇宙は(1)地、(2)水、(3)火、(4)風、(5)空、(6)識の6つの要素で構成されていると考えられている。この要素が六大である。
これらが妨げなく組み合わさることで、大日如来も宇宙にも、人にもなるというのが密教の考え方だ。
 このうち地、水、火、風、空の5つ(五大)は物質、識は精神を示すといわれているが、物質と精神は別々にあるのではなく、互いに深く結びついていなければならない。このように深く結びついた状態を密教では瑜伽といっている。
 瑜伽のなかで、草、木、動物、人間など、あらゆる命が生かされ、それが集まって世界が構成される。さらに大日如来の大いなる慈悲がその世界を包み込んでいるというのが空海の考え方である。

空海さんは、ヨガ宗なのよ」と言っても、「え! あの書道の坊さんが?」というリアクションをするヨギには、こういう解説がしっくりいくかな。

<166ページ 『即身成仏義』より>そのまま引用
 空海の代表的な著作の1つに『即身成仏義』がある。これは819(弘仁10)年頃、空海が46歳の頃に書いた渾身の書で、単に『即身義』ともいわれている。
 空海はそのなかに「六大無碍にして常に瑜伽なり」 四種曼荼各々離れず 三密加持すれば即疾に顕わる」で始まる詩を盛り込み、即身成仏のすべてを語っている。詩の冒頭部分の意味はおおむね次のようなものである。「宇宙を構成する六大に妨げがなければ、それらは常に溶け合っている(瑜伽)。そして、四曼荼羅は互いに離れることなく作用し合っている。仏と凡夫(人)の間でなされる三つの働き(三密)を加持することによって、宇宙の根源仏である大日如来と一体になり、成仏を可能にする」

それらは常に溶け合っている(瑜伽) という解説の、「溶け合う」というのが非常にしっくりいく表現だなぁと思うことがあります。「ヨガは、"つなぐ"という意味」という解説を多く見ますが、点と点が線になってるながる感じ、"溶け合ってつながる"感じ、いろいろな場面があります。

<188ページ 高野山への道 より>一部紹介
空海は週に3回、母に会うため慈尊院までの道を往復したというエピソードが語り継がれている。

こりゃぁすごい。うちこが「死ぬかと思った」という経験をしたあの道です。

<巻末 訪ねてみよう より>
これは、まだ訪ねたことのない場所の、旅用メモ。
・京都 乙訓寺、伏見稲荷大社神泉苑京都御所、五山送り火
・奈良 室生寺東大寺真言院、久米寺興福寺南円堂(出張バージョンが先日行った「阿修羅展」)
・大阪 施福寺
・香川 善通寺大窪寺出釈迦寺八栗寺
・徳島 霊山寺切幡寺焼山寺
・高知 金剛頂寺御厨人窟
・愛媛 前神寺
・福岡 東長寺観世音寺

まだまだ、国内旅行の楽しみがいっぱいです。


▼最後に、空海さん関連でこれまでにここで紹介した本のリンクを張っておきます。
空海の世界 金剛鈴の響き 桜井恵武/撮影
空海の夢 松岡正剛 著
黎明 葦原瑞穂 著
実修 真言宗の密教と修行
集英社版学習漫画「空海」
空海 民衆と共に―信仰と労働・技術  河原宏 著
空海とヨガ密教 小林良彰 著
『空海の風景』を旅する NHK取材班 著
密教―悟りとほとけへの道 頼富本宏 著
謎の空海―誰もがわかる空海入門  三田誠広 著
密教―インドから日本への伝承 松長有慶 著
悩め、人間よ―親鸞、空海、日蓮、隠された人間像
はじめてのインド哲学 立川 武蔵 著
「仏教とヨーガ」保坂 俊司 著

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