うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

言語世界地図 町田健 著

お友達のユキちゃんちの本棚から借りてきました。月刊誌『フォーサイト』に四年にわたって連載された内容を編集しなおされたもの。
こんなインテリジェントな本は、自分ではまったく選ぶ気配すらありませんから、知人の本棚というのは視野を広げてくれるよいきっかけになりますね。
うちこは今は、語学をあまりちゃんと勉強していません。20代のころには多少やっていて、いまはそのころのストックと、軟体を駆使したボディ・ランゲージとのあわせ技でなんとかなっています(笑)。
過去にいろいろな場面で一緒に旅行をしたり、ホームステイしたりで、1時間近く〜まる一日、話すことになったことのある外国人の国籍は、けっこうさまざまです。インド人、香港人、中国人、カナダ人、フランス人、アメリカ人、オーストラリア人、シンガポール人、イギリス人。漢字が手のひらで交わせてしまう香港人、中国人は別として、ほかは英語で。
そんなわけで、いろんな国の人の言葉には、けっこう触れています。これでも。

この本は、読むと「へぇぇ」「ほぉぉ」なことがいっぱいで、かえって勉強する気がなくなりました(笑)。いくつか紹介します。

<98ページ インド英語「ITで強みを発揮する特徴と難点」より>
インド英語の特徴としてまず挙げられるのは、r の発音である。アメリカ英語では舌を上に巻き上げるようにして発音されるが、インドでは、イタリア語やロシア語などの r と同じく、歯茎の付け根で舌を震わせる「巻き舌」で発音される。しかも単語の綴りにある文字は原則としてすべて発音されるから、例えば park(公園)や understand(理解している)は、「パルク」や「アンデルスタンド」のように聞こえる。

うちこはいつでも、「はい、じゃあいまの英語をインドバージョンでお願いします」といわれたら、話せます。もう、こびりついてます。インドに行ったとき、不思議だったのは、私よりも発音がイマイチな母の英語がスッと通じていたこと。ちょっと、耳にはいるところはカナっぽい面もあると思います。

<141ページ 韓国語(朝鮮語)「にわかブーム、日本語との遠近」より>
韓国語にも日本語と同じかなり複雑な敬語があり、これも両言語で共通している。ただし、韓国語の敬語は「絶対敬語」と呼ばれ、日本語だと「うちの社長がおっしゃいました」のように身内に対して尊敬語を使うのは間違いだが、韓国語では自分よりも上位にある人間に対しては、いつでも尊敬語を使うことになっている。

クライアントと話すときに、身内に「さん」付けする新人とかを見ていると、日本もそうしてしまったほうがラクなのではないかという気がしてしまいます。たまたま最近、そうゆうことがあっただけなのですが。

<202ページ ケベックのフランス語「十七世紀の面影を残す」より>
カナダ諸州の中でもケベック州だけは、フランス語を第一言語とする住民が八割を占めており、当然のごとく公用語は英語ではなくフランス語である。カナダの他の州ではほとんどの住民が英語を話すのだから、この点でケベックは異質である。
(中略)ケベックのフランス系住民は、支配権がイギリスに移ってからも、従来のフランス風の伝統を保持することを認められたこともあって、現在でも移民が始まった十七世紀当時の面影を残すフランス語を使っている。

具体的にどのエリアが、どんな背景で、いまどんな状況ということまでは知らなかったので、勉強になりました。


この話とはちがいますが、以前まっさん(さだまさしさん)が、九州のことばは「ばってん(But then)」など、英語からきた方言が多いという話をしていて、方言と外国語の関係について、驚いたことがあります。
ブラジルでは、果物の「柿」が「かき」という呼び方そのままで存在しているそうです。言語の歴史は人が歩いて口述した歴史なんだなと、あらためて思います。
インドのマントラと、漢語訳を経て日本に伝わった真言、念仏の関係にも、いつも発見がいっぱいです。なにごとも、言語に興味を持ってのぞむと、その深みもまた違ってきますね。

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