これは仕事仲間の奥様から借りました。わたしにおすすめしたいとのことで、預かったそうです。奥様にはまだお会いしたことがないのですが、どうもありがとうございます。読みはじめて三分の一くらいまでで理由がわかりました。これ、「修行」の話なんです。魔女修行。その心の修行が、とってもヨガ的。
このお話は、登校拒否児童の少女「まい」が、おばあちゃんの家にあずけられている間に「魔女修行」を受けるお話です。
「西の魔女が死んだ」というお話と、「渡りの一日」という短編が一冊の文庫に収められているのですが、お話は同じ主人公の後日談になっています。
いくつか、心に残った箇所を紹介します。
<17ページより>
わたしの全体を知って、おばあちゃんはがっかりしないだろうか。ママががっかりしたように。そしておばあちゃん自身もまた、どこか底知れないところがあって、まいは少し怖くもあった。
でもそれが、まいがおばあちゃんに魅きつけられる理由の一つでもあったのだけれど。
ものすごく歓迎してくれる大人に対して、たしかに子供の頃、こんなことを思ったなぁ。
<39ページより>
まいは、食欲が全然なかったのだけれど、おばあちゃんの気を悪くしたくなかったので、がんばって全部食べた。
これは、30歳を過ぎてもかわりません(笑)。
<157ページより>
(まいの父親について話す、まいとおばあちゃんの会話の場面)
「まあ、悪い人じゃないんだよね。ただ、ちょっと想像力がなかったんだな。自分がこう言ったら、年端のいかない娘はどう思うかっていう……」
「そうですね。でもその手の想像力の欠如している人って世の中には多いですよ」
「知ってる」
ちょっと痛快だけど、でも、けっこうある。歳の差を越えたガールズトーク。
久しぶりに息抜きできて、少女時代を思い出しました。
わたしは小学生の頃、クラスの子にどんな仕打ちをされても「あの人は天井が低い思考なんだろう」と確信していて、ある意味無駄に繊細ではない当たり前の感度で育ったんだなぁと、今になって思います。
そして、その考え方が現在進行形であることにも気づきました。
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