うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

「整体入門」「風邪の効用」野口晴哉 著

この二冊の本に共通するニュアンスは、「病気や、どこかを痛めた状況でいたい人は、本当に治ると困っちゃうからねぇ」というところ。怪我によって交通事故の補償金をたくさんもらいたいとか、風邪が治るとやさしくされる期間が終わっちゃう、とかそうゆうことです。
その点について「治す気ないんじゃろうが!」というスタンスではなく、「いますいますそうゆう人、いっぱい」と一貫していて、たくさんの人を診ているとそうゆう領域にいっちゃうのだろうな…。


「整体入門」。もはやこれは整体哲学です。いくつか引用します。

整体入門 (ちくま文庫)
野口 晴哉
筑摩書房
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<62ページ 第三章「外路系の訓練」より>
活元運動も相互運動も、行うときに一番大切なことは、やり方ではありません。「天心」であること、これが根本です。天心で欲のない、相手に何ら求めることもなく、恩を着せようとせず、ただ自然の動きに動く、そうゆう心の状態でやらなければならない。親切にしてやろうとか、やってやる、受けてやるというような心があったり、自らの技術を誇るとかいう心でしてはならない。

ヨガのレッスンでいつもそう思いますね。

<156ページ 第六章「体癖と生活」より>
(頭の疲れをとる体操の説明の中で)左の鼻から息を吸って右から吐けば、頭は働きやすくなる。この逆を行えば休まる。

もろ調気法。

<160ページ 第六章「体癖と生活」より>
(乗り物に)酔う人の顔をみてごらんなさい。きょときょとして落ち着かない。そして自分を弱いものに見せて甘える人達です。そうゆう人は何にでも甘えるのです。汽車に乗るのや飛行機に乗るのまで、甘えの材料にしようと企てているのです。


(中略)


自分で自分のことをやっている、まともな人間は酔いません。

ばっさり。

<160ページ 第六章「体癖と生活」より>
誰でもゴルフをやれば健康になるつもりでいる人もありますが、下手なゴルフは捻れ製造法です。

人の話を聞かないでやるヨガも、捻れ製造法。



次はこれです。「風邪の効用」これは「整体入門」よりも文字がおっきくて、早く読めますよ。いくつか引用します。著者の野口氏は本当にものの例えや説明が上手で、痛快です。

風邪の効用 (ちくま文庫)
野口 晴哉
筑摩書房
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<47ページ 「風邪をひく心理」より>
時に、風邪を簡単に見積られると憤慨して、風邪の水増し作戦といいますか、いつまでも治らないようなことをやってみたり、治ってもそれを認めようとしない人があります。お前の財布は軽いんだろうと言われたのと同じように、お前の病気は軽いぞと言われるのは嫌らしいのです。

この例え、サイコー。

<100ページ 「病気になりたい要求」より>
歯が痛い時でも、「痛そうね」といわれると、「何でもないわよ」と威張っている人でも、「お茶を入れてくれ」とか「水を汲んでくれ」とか頼まれると、「私はこんなに歯が痛いのに」と言う。ちょっと面倒なことを頼んだりすると「私は今風邪を引いているのよ」と言って、権利を獲得したようにガンとはねつける。

痛快。

<192ページ 「肘を温める」より>
頭の発想が停滞したときには肘を温めると良くなります。

いいことききました。


整体の本のようでありながら、心理学本のよう。どなたにもためになり、ハートが健康なみなさんや、ハートの健康を本当に目指すみなさんには、救われる二冊です。健康になると何かをしなくてはいけなくなって困るような真性の怠け者さんは読まないほうがいいかも。言われたくないことがいっぱい書いてあるから。



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株式会社 全生社

野口晴哉さんの他の本への感想ログは「本棚」に置いてあります。