うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

婚期 林芙美子 著

あたりまえにさまざまな色の自我を備えた男女の間で信頼関係が醸成されていく様子を短編で書くって可能なの?! という驚きをまたしてもあっさり超えてきた。「清貧の書」もよかったけれど、これもかなり後をひくおいしさ。
26歳でオールドミスと呼ばれ29歳になる頃には「わたしはおばあさんですが」と自虐するのがあたりまえの時代の女性にもちょっとしたオタク気質を持った人はいて、そんな女性が主人公なのだからたまらない。しかもそのヲタ女の萌え対象を「余先生」と書く。大爆笑。やるなぁ。「草枕」のこんな効果的な使いかたってある? 天才だわ。

 

男女の間で信頼関係が醸成されていく様子を壮大に描いたものを好む文学好きのみなさまはジェイン・オースティンの「高慢と偏見」を囲んでインテリチックに遠回しにちんたら話していたらよいと思いますよ。こちらはこちらでよろしくやらせていただきますので。ほなさいなら。
この作家の書くものは圧倒的なリア充パワーに満ち満ちている。「姐さんついて行きます」と服従したくなる牽引力がある。いまの時代に生きていたら確実に東京都知事になっていたんじゃなかろうか。

婚期

婚期

 

ご参考までに