うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

首のたるみが気になるの ノーラ・エフロン 著 / 阿川佐和子(翻訳)


著者の母親が残したという「すべてはネタなのよ」というフレーズから、テキスト版・西原理恵子という印象を持ちました。ただの暴露エッセイではないし、ものすごくそれが芸になっている。異様な勢いのおもしろさ。リズム感がすごい。文章そのものがおもしろい。
そして登場人物がJFKであったりする。ビッグすぎて嘘かと思うのに嘘じゃない。

 私はミミ・ファーンストックの記事を読んで愕然とした。ケネディホワイトハウスで働いた若い娘のなかで、大統領が手を出さなかったのは、どうやら私だけらしい。きっとパーマのせいだわ。あのパーマは痛恨の過ちだった。
(「私とJFK〜いまだから言えること」より)

ホワイトハウスで働いていた頃、大統領が乗るヘリコプターが発着する羽根からの突風にもまったく乱れない強靭なパーマ・ヘアだったそう。それを悔やむ描写は爆笑もの。


もう、いちいち比喩がおもしろい。その面白さに対して、現実のスケールが大きい。「話を盛る」の反対語って、なんというのだろう。決して謙遜ではない。謙遜は読み手にとってはだいたい負担であり、ただのリスクヘッジってことがほとんどで、芸もない。そういう無駄な謙遜がひとつもない。なのに自虐だけじゃない。このバランスが絶妙。実績がある。
著者は「恋人たちの予感」や「ユー・ガット・メール」などのメグ・ライアン主演映画の脚本家として有名なかた。阿川佐和子さんがゲスト出演されていたラジオでおすすめされていて、気になって読みました。あまりラブコメディ映画を観ないわたしも、このエッセイを読んだら観てみたくなる。
まだ首のたるみが気にならない人でも、やりたいことがいつも散らかっている人は、読むと胸がゆるみます。そりゃあこれだけ世間の価値観があっちこっちに揺れれば、わたしの人生も散らかるわ! と思えてくる。
女性の人権、仕事、家庭、子育て、結婚、離婚、親の役割、セクハラ、パワハラ etc… ぜんぶぶわーっと散らかして、笑わせてくれます。そしてときどき、しんみり。笑えるだけではないところも含めて、なんだかリアリティがある。NY的なものが好きであってもなくても、笑えるし少し泣けます。