うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? 中野円佳 著


どの方面からどんな這いつくばりかたをしても苦しいことになると、知っていても知らなくても変わらない。
教えてほしかったと言っても、誰も知らなかった未来。そんな現状が様々な角度から調査されています。
この本は
「コイツには何言ってもいい系女子」が密かに我が身を切り刻んでる件
というウェブ上の記事をきっかけに著者を知って読みました。普通にあることを「現場、こうだよね」として書くとが、もうアリになってきたのか(書いていいのか)…という気持ちで。
わたしは仕事はどこでも「置いてもらっているだけでありがたいと思えと、言われないだけありがたいと思うべきなのだろう」というスタンスでずっとやってきて、それは子どものころ家庭内での自分の立場がそうだったから、なんでもすんなりそう考えていました。「いちばん蔑まれる立場のほうが、仕事に没頭できる」という考えかたをするところもあって、この本に出てくる例よりもあきらめが苦にならない性格なのかもしれません。
この本での「育休世代」は整備が整いつつある1978年生まれ以降。
とくに以下は育児をしていなくてもしんどいのに、そうなったら投げやりになっちゃうことも、あるよね…。と思う。

 退職するにしてもマミートラックを脱するにしても「やりがい」を確保するには覚悟が必要で、覚悟を決めた場合は、子育てを誰かに託して働く必要がある。そして、それをしたからといって、確実に収入や成功が得られるわけではない。
(7章 誰が辞め、誰が残るのか? 「解けない方程式」より)


社会は「女性と男性を同じ存在にみなす」ではなく「女性【を】男性【と】同じ存在にみなす」ことを目指し、女性に対しては、男性と同等に学業や地位達成を果たすという意味での「男なみ」を求めてきたのではないか。
(8章 なぜ「女性活用」は失敗するのか? 教育に埋め込まれた「男なみ」より)

たしかにそうだなと思うのだけど…、
やっぱりなにより、
根幹にあるのは
これだと思います。
 ↓ ↓ ↓ ↓

 経営学者の高橋伸夫(2004)は、従来、日本企業は社員に対し、金銭的な報酬よりも、「次の仕事」によって働きに報いてきたとする。仕事への高評価が、やりがいのある「次の仕事」につながり、結果として昇進や昇給をしていくというのだ。
 ところが、ここで「評価」されるのは、客観的に計れる成果や生産性というより、長時間労働に象徴される「企業へのコミットメント」であることが多い。
(3章 不都合な「職場」 「マミートラック」の何が問題か より)

人生設計や仕事の内容に関係なく「自分の中で忠誠心の火種が消えた」と思うときって、くると思うんですよね…。
出産に関係なくそれはやってくるし、男性だって実はとっくに火種がないままぶら下がってるって人、多いと思うんです。
さくっと転職で方向転換しやすい世の中がいいと思うのだけど、それは仕事の選択肢が多い都会にいるからそんなことを思うのかもしれない。「やりがい」という基準で仕事を語るのをやめたほうが、人口は増えるんじゃないかな…。なんて思うことがよくあります。


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