うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

アカガミ 窪美澄 著


読むのを止められない、通勤時間も仕事の昼休みがあっという間に過ぎてしまう。そんなこんなで昨日買って今日読み終えてしまいました。
未来設定の小説だけど、この際ディテールなどどうでもよいと思うほど主人公の若い男女のさまざまな「こわい」という感情の描きかたが秀逸。
ネタバレしないように感想を書くのがすごくむずかしい小説なのだけど、多くの人が絶句し、首を縦に振り、結末がハッピーエンドなのかバッドエンドなのかという問いを突きつけられ、たぶん恋を飽きるほどしていない人は恋もしたくなる。


結末については、原因となる子供の性別の設定から、書かれている事実以上のことを想像した。この小説のタイトルは「アカガミ」だから。
本を読みながら差し出されるのは、お金の心配もトリプル介護の心配も職場復帰やキャリアの心配もないよ! という手厚い状況があったとして、さて。というシンプルな問いだけ。
この小説の設定だと、わたしはとっくに狂っているか、そろそろ死ねるという頃合。それはある意味ユートピアなんじゃないかと思うほど、自分がすっかり疲れていることに気がついた。生への執着をキープするのもなかなか難儀なことである。いずれにしても、飽きるほど恋せよ若者。それだけは、たいそうよいものであるよ。
思わせぶりな書き方はなるべくしたくないのだけど、経過も結末も言ってはいけないタイプの小説。映画のような読後感です。気になったらぜひ。


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