楽しくてあっという間に読んでしまいました。さまざまな雑誌の対談を集めたもので、お相手リストはこのようなかたがた。
養老孟司、よしもとばなな、重松清、姜尚中、柳美里、ともさかりえ、深津絵里、荻原博子、堀江貴文、みうらじゅん、リリー・フランキー、伊藤理佐、やなせたかし
痩せて戻ってきた堀江氏との対談が「ほうれい線が目立つからヒアルロン酸入れたらどう?」という会話から始まっていたり、息子を育てるばなな氏に「元気が余っている男の子は、水に漬けて日に当てて炭水化物を与えて、寝しなにつまんない本を朗読して寝かすべし」と、自ら開発したとてもヨギックな手法をインプット。更年期うつについては「わたしでもこういう思考に陥った」というトーンで話されていて、とにかく全面的にリアル。
姜尚中氏との対談のなかに、意外な流れでカルマ・ヨーガ的宗教観が語られている箇所がありました。
西原:どんどん状態が悪くなるんですよ、仕事がうまく回れば回るほど。
姜:わかる気がします。
西原:だからネパールとかチベットとかミャンマーとか、高い山に登ったり神様を見たりする企画をどんどん入れてるんです。祈っている人が大好きで、自分も神様を信じたいんだけど、神様を信じると自分の毒がなくなって、カネ儲けができなくなってしまうかもしれない(笑)。
姜:そこに分裂があるんでしょうね。崇高なものに触れると毒がなくなる。でも、作家は俗っぽいところがないと売れる作品はできない。芥川をはじめ多くの文豪が自殺したのも、そういうところがあるのかもしれないですね。
世の中における自身の役割分析も面白い。以下、リリー・フランキー氏との対談より
西原:私たちが賞もらうのって、頭のいい批評家が難しい本ばかり読んでるというのを前面に出すと恥ずかしいから、「こんな汚いサブカルものとか、外道な漫画家も、オレは理解してるよ」ってスタンスで選んでるケースが多いと思う。そういう対象としてはちょうどいいんだろうね。
リリー:オレらの仕事はにおい消しだからね。
におい消しって(笑)。
うなずくことが多かったのは、深津絵里氏との「"女ともだち" って、なんだろう」という対談。こういう友達ならいらないというスタンスが語られていました。サイバラ氏の「友情の膨らみは、お互い自立して強くならないと出せない」は名言。ちょっと人とおしゃべりしたい気分のときに読むと元気が出ますよ。
新潮社 (2013-12-24)
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