うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

タイ式マッサージ ― タイ伝統医療の理論とテクニック リチャード・ゴールド著

今年の年始にタイでマッサージを受け、それからタイの文化を勉強していた流れで、この本も読みました。

身体内の気の流れの考え方はヨガや中医学と共通しているけれど、マッサージの目的やあり方が逆なところが興味深くて。

タイのマッサージは仏教の瞑想と関連が深く、インドのヨガのアーサナ(関節をほぐす)が瞑想をしやすくするためのものであるのに対し、タイのマッサージは瞑想で固まった股関節をほぐすもの。

そして現代の生活を見てみれば、デスク・ワークの人は恐ろしいほど長時間同じ姿勢でいます。

タイ・マッサージの手法のいくつかは、ヨガと同じことをしているな、と思うものもあって、プラーナ・エネルギーを刺激すると信じられているものは、タイの専門用語ではパート・プラトゥー・ロム(Perd-Pra-Too Lom)を呼ばれ、「風の門を開く」という意味だそうです。<P33

 

ドーシャの考え方はヨガと全く同じですが、インドのパンチャ・ブフゥータ(五大要素)のうち「空」を抜いた地・水・火・風の4要素で身体を見ていて、人体内の「風」に影響を与えるために考案されているそうです。

関節に溜まった風を追い出すためという考え方は、ヨガのパワンムクタアーサナ(パヴァナ・ムクタ・アーサナ)と全く同じです。

 

  • パヴァナ=風
  • ムクタ=解放
  • アーサナ=体位

 

 

「風(ロム)」が呼吸を正常に保つために重要と考えられていて、メンタル面で以下のように捉えられています。

「風」は思考や感情といった心の動きを調節し、五感で経験したあらゆる思考や感情を心身に反映させ、それに応じた反応を表に出す。「風」は、活動的な生活を送るための欲求や意志を呼び起こす。<P14

 

 

この本を読んでいると、タイって、まさにインドと中国の中間なんだな! と思う内容で、セン(Sen)と呼ばれる身体内の経路は中医学の経絡のようです。

巻末には、「医学の祖」ジーヴァカ(Jivaka )に捧げるマントラがあり、パーリ語タイ語の両言語が混じり合っているとあります。

わたしが見て3割くらい知っている単語があるのは、サンスクリットと同じ意味のパーリ語om とか namo とかsuriya-candam naga などのワードが読み取れます。

 

レントゲンやMRIで身体を透視するかのようなテクノロジーが発達しても、このような手法に頼りたくなる気持ちを掘り下げてみると、生きていく上でいろんなことを受け入れていくのに、以下も必要であることをしみじみ感じます。

 

  • 覚悟が発酵するまでの時間
  • 人間や生物の協力エネルギー
  • 世界を信じるための教義

 

 

タイマッサージの世界では、16歳までがカパの期間で34歳までがピッタ、34歳を超えたらヴァータであれこれ混じって大人なりの不調も出てくるわ! という考え方なのも興味深く、まさに「成人病」(生活習慣病)のよう。

このざっくりした感じが何周も回って現代的に感じられました。

 

 

▼これがきっかけでした