うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

東洋医学の本 ― 心と体に効く奇跡の療法を探る

東洋医学の本
学研の「NEW SIGHT MOOK ― Books Esoterica」というシリーズのもので、以前高野山で借りた同じシリーズの「気功法の本」を読んだことがあります。これは、道場仲間が貸してくれました。東洋医学といってもいろいろある広い世界ですが、キーワードの説明と歴史のエピソードをキュキュッとまとめた、味の素のような本。ムックだからね。

中国、インドの医学を中心に、末尾のほうには日本のさまざまな健康法のダイジェスト紹介も。なんか気になるわぁ、面白かったわぁという雑学的なメモでは、

イスラム教のユーナニー医学(ユナニ医学)、貝原益軒氏の「養生訓」、西勝造氏の「西式健康法」、中国の「カーマ・スートラ」のような「房中術」が気になりました。(Wiki内の『房中術 玉房秘訣』を見ると、ホットドッグ・プレスなレベルなのがおかしい……)。そのほか、中国の神様の眼光娘々(がんこうにゃんにゃん)さん、註生娘々(ちゅうせいにゃんにゃん)さんも気になりました。前者は眼病治療の神様、後者は妊娠・出産の神様。

まじめなメモも、残してあります、はい。「中国編」「インド編」「日本編」の順に、いくつかご紹介します。

●まずは中国編

<56ページ 五行論と五臓六腑の関係 より>
 中国医学では、肝は全身に気をめぐらす働きがあり、脾には飲食物を消化する作用があるとしている。相剋関係では、脾の消化作用は肝の気に制約されていて、肝の気の病変は脾の働きに影響を与える。たとえば、ストレスがあると食欲が極端になくなったり、逆に亢進しすぎたりするのは、このような関係を現している。

なるほど! と思います。Wikiの五行思想の説明にある、「相剋と相生」も読んでいてとても面白かった。アーサナみたいでもあり、インドの「五大」に似たところもありで、実に興味深い。

<56ページ 五行論と五臓六腑の関係 の図解注釈より>
督脈
 生殖器内部から起こり、脊椎にそって上行し、頭部に入り、頭頂を通って顔面を下り、上口唇に行く。分枝は腎をまとう。

任脈
 生殖器内部から起こり、会陰に出、腹部正中線を上行する。口唇下部で2枝に分かれ、顔面を上行して目に入る。

なんか、鼻の下って、伸ばすと気持ちいいじゃないですか。そこが合体点なのが発見。督脈と任脈については先日別件で学んでログを残してあります

<89ページ 生を重んじた道家の思想 より>
 儒家道家のどちらが生を重んじ、死を悪(にく)む思想を強く説いているかといえば、道家に軍配を上げざるをえない。老子は、摂生という言葉を養生と同じ意味に用いて、

 「善く生を摂(やしな)う者は、陸に行きて災(旧字)や虎の害に遇わず、軍隊に入るも甲兵に被(がい)されず」(第五十章)

と述べている。生命を大切に考えている人は、野獣や武器によって命を奪われることはないというのである。その理由を彼は、逆説的ではあるが、生命の保持に執着しないからである、と説く。
 無為自然を尊ぶ老子は、過度な生命に執着する人為的行為が、生命の喪失を招くことを警告している。人間は本来、天地のエネルギーを受けて生まれているのであるから、さかしらな人智を振り回す必要はないのである。

老子さんは、ほんとうにシャンティよねぇ。


<95ページ 改良された清代の八段錦 解説図より>

これと同じようなこと、しますねわれわれも。


こんなやつね。



●そしてここから、インド編

<138ページ 身体を浄化し、生命力を高める 食物で治療する より>
 ダートゥとは「人体の組織」という意味で、主要なものとして次の7つが挙げられる。
ラサ(乳び)・ラクタ(血液)・マーンサ(筋肉組織)・マッジャー(骨髄、神経組織)・シュクラ(精液、生殖器官)。いずれもアーユルヴェーダでは、生命に必須の基本的要素とされている。

ヨガの本でも、読むものによっては非常にロジカルにプログラムされた身体の科学のような書かれ方をしていているものがあります。うちこは割とそういうところが好きで、ヨガへの向き合い方が独特だとか、説明が独特だとか言われるのも、こういう解釈との相性によるところが大きいように思います。気体と液体の関係性が統合されているところが、ヨガの魅力だよなぁ。



●最後に、日本編

<172ページ 白隠の内観法と軟酥の法 より>
軟酥(なんそ)の法
(1)鴨の卵くらいの大きさの軟酥の丸薬を頭上に乗せたとイメージする。
(2)この軟酥丸は清い色をして、よい香りがする実にすばらしい丸薬である。これが頭全体を潤し、ヒタヒタと水が浸透するように下りてきて、両肩、両上肢、乳房、胸、肺臓、肝臓、腸、胃、背骨、尾骨まで潤すと観想する。
(3)さらに軟酥が、すべての内臓にしみわたる様子を想い、同時に心の一切の苦悩、病が溶け入り流れていく感覚を得る。軟酥はさらに両下肢を温かく潤し、足の裏まで到達してそこで流れは止まると観想する。
(4)最後に、名医が病気によく効くといろいろな種類の薬剤をお湯で煎じて桶に一杯入れ、自分の両下肢をその中に漬けていると観想する。

うちこは道場でアーサナの説明をするときに「スライム」をよく使いますがドラクエのうんちのほうじゃなくて、緑のネバネバのほうね)、これまたスライムっぽいなぁ。あえてもう少しおしゃれに言うなら、「妄想坐禅シロダーラ」ってとこでしょうか。これでまたうちこ式ができてしまいそう……。

<204ページ 自彊術 より>
図です。はい、どん。

鋤→パスチモッターナ→鋤→パスチモッターナって、忙しい! でも、背骨とスシュムナーにキそうだわなぁこれ……。見つけちゃったんでしょうね。


雑学ノリで読むことも、神秘ノリで読むこともできる本ですが、ヨガ的に読んだらこんな感じでした。

東洋医学の本―心と体に効く奇跡の療法を探る (New sight mook―Books esoterica)

学研
売り上げランキング: 197338
おすすめ度の平均: 4.0
3 ヨガに役立ちます。
5 からだにやさしい東洋医学