うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

理由のいらない関係 ジョージとエリック「ジョージ・ハリスン自伝」再読

読み直しの感想をずっと書きたいと思っていました。こういうのは日常が普段どおりに動き出してしまうとゆっくり思い出せなかったり、とりわけ「友情」なんていうセンチメンタルな話は、時間に余裕がないと浸れないものです。
11月に観た映画「リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」がとにかく刺激満載で、その後手元にあった「ジョージ・ハリスン自伝」の第二部を読み返して、いくつもの視点をつなぎ合わせてしみじみとする瞬間がたくさんありました。


映画の中でコメントを寄せている人物の中で、エリック・クラプトンリンゴ・スターはとにかくユーモア満載で泣けます。
「ユーモアのありどころ」に涙が出ます。
うちこの中にはいろいろな人がいるので、


  ポールの動物的マーケティング・センスに脱帽し
  人の心の裏側も光にしてしまうジョンにのけぞり
  ヨギとしてはジョージ師匠、くらいのアレであり
  つらいときは、リンゴの「菩薩を兼ねた存在」に感動



と、それぞれに魅力を感じているのですが
エリック・クラプトンさんについては、どうゆうわけか自分の中で客観性がいっきに失われ



  惚れてしまいますので、かんべんしてください。



という具合で、自分を失う感じが少々疲れるのであまり見たり聴いたりしないようにしています。クリームもです。なのであえて「さん」づけで接していきたいと思います。
というわけで、今日はエリックさんとジョージの話題。
曲としては「Here Comes The Sun」「Savoy Truffle」、そのほか必ず見ておきたい映像なんかも。


▼「Here Comes The Sun」をすぐに思い出せない方へ。10秒で思い出す。

この「Here Comes The Sun」は、エリック・クラプトンさんの家の庭でできた曲。映画にそのエピソードが出てくるのですが、「ジョージ・ハリスン自伝」にこのように記述があります。

「ヒア・カムズ・ザ・サン」は、アップルが学校のようになってしまっていた時期に書いた。
ぼくらは毎日オフィスに通い、ビジネスマンのようにあっちの書類、こっちの書類にサインしなければならなかった。
(中略)
ある日、意を決してアップルを「フケる」、つまり無断欠勤することにした。
ぼくはエリック(・クラプトン)の家へ行き、庭を散歩した。
会社へ行って間抜けな会計士たちと顔を合わせなくていいというだけで、すばらしく安らかな気持ちになった。
そしてエリックのアコースティック・ギターを一本借りて庭を歩き、「ヒア・カムズ・ザ・サン」を書いたのだ。

会社をサボってこんな曲ができる。エリックさんの存在はとても不思議です。



そして、ホワイトアルバムの中でもひときわ異質でカッコよすぎる「サボイ・トラッフル」にもエリックさんが絡んでいました。これはエリックさんがジョージの家に遊びに来ているときにできた曲です。


くりいーーーーーむ たんじぇりーーーーーん もんてりも!
▼「Savoy Truffle」 ひたすら甘党

エリックさんはアル中になる前はチョコレート中毒でいらっしゃったそうで、60年代にジョージがエリックさんと「つるんで」いたころにその甘党っぷりをおもしろがって書いた曲なのだそうです。
以下「ジョージ・ハリスン自伝」より。

当時エリックは虫歯だらけで、歯医者に行かねばならないほどだった。いつも歯痛を抱えているのに、チョコレートを山ほど食べていた。がまんすることができなくて、チョコの箱を見ると一箱全部食べずにはいられなかった。
 そのエリックがぼくの家に来ているときに、「グッド・ニューズ」のチョコレートの箱がテーブルの上にあったので、ふたの裏に並んでいたチョコの名前を使って曲を書いていった。


もうひとつ、おもしろい話が書かれています。

 二箇所のサビのところでしばらく詰まっていたら、デレク・テイラーが歌詞を手伝ってくれた。
「知ってるだろう 食は人なり……」のところだ。

デレクさんというのはイケメン広報。



そう。この歌の中で、この部分の歌詞がちょっと異質なんです。

 知ってるだろう 食は人なり
 でも今は 甘いものがすっぱくなってしまった
 「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」は知ってる
 でも教えてほしい
 おまえたちはどこへ行ってしまったのか

もう、ちょっと呼び水を出されたら、イヤイヤ病がでまくりです(笑)。
そんなイヤイヤ病も、ジョージひとりだとドスーンと落ちた曲になるところが、エリックさんと一緒だと、ちょっと違う。
いまひとつの状況の中でも、エリックさんと一緒にいると「ルンルンとした火種」のようなものが湧き出るような。



エリックさんにとってはパティも中毒のうちのひとつだったのかと思えてしまうような流れなのだけど、この二人のパティ回想スタンスもおもしろい。



 ジョージ:「Something」はパティのことを書いたんじゃない
 エリック:僕はあの曲もこの曲もそうだし、別れてからも書いた(笑)



この話は動画で見ましょうか。すごく素敵。アップしてくれた人に感謝。
「すばらしき仲間2 91年」 4分割なので上から順にどうぞ。

George Harrison&Eric Clapton 1/4

George Harrison&Eric Clapton 2/4

George Harrison&Eric Clapton3/4

George Harrison&Eric Clapton4/4


ジョージが照れ隠しをしてても全くおかまいなしのエリックさんは、なんだかジョージの奥さんみたい。
エリックさんのマイペースっぷりをジョークにするジョージは、なんだかエリックさんの奥さんみたい。
すさまじい二人なんだけど、ほっこりするのです。
「友情」って、きっと「ルンルンする火種」のことなのだと思います。

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4 本当に正しい翻訳なのだろうか?
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