うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

ブログ進化論―なぜ人は日記を晒すのか

IT関連書籍にしてはとてもあたたかい視点で、ブログというツールのもたらす世の中への影響について語られています。全体を通して、筆者の徳の高さ、思いやりあふれる人柄が伝わってきました。実例書としても非常に王道をいっているので、当然有名人のブログの状況などについても触れられているわけですが、ブログというメディアのよい本質をとてもわかりやすく解説してくれています。

なかでも、こうゆう解説はいいなぁと思った箇所が一つ。引用して紹介しますが、よりわかりやすくするための解説部分は少し割愛しました。

<86ページ 「吉田松陰と野山獄」より>(右上の写真は、野山獄跡)
時は1854年の3月。松陰は、海外の知識を吸収して日本を救うため、国禁を犯してまで黒船に密航しようとした。しかし、この計画が失敗に終わったため自首した松陰は、同年の10月、萩にある野山獄という独房が12個しかない小さな獄舎に収監されることになった。
しかし松陰は、自分と同じように収監されていた人たちに、ともに学ぼうと提案したのである。「みなさん学問をしましょう。ここには私たちがいる。あなたたちがいる。互いに教え合おうではありませんか。人と人との出会いほど尊いものはありません。私には知らないことがたくさんある。みなさんは一人残らず私の師匠です!!」
この言葉に心を動かされる囚人たち。そして、各人が「書が得意」「俳句なら少々」「薬草のことなら少しは詳しい」といったように、自分だけが語れることを告げ始めたのだった。
この日から野山塾の様相は一変した。囚人たちの目には生気が蘇り、誰もがこの授業を心待ちに日々を送るようになった。そして、最後には看守役の役人までもが、松陰とともにこの野山獄の講義に参加するようになる。


この野山獄の話は、二つのことを教えてくれる。まず、誰もがその体験を話すこと、また綴ることによって、人の師となれるということ。そしてもうひとつが、良質なコミュニティを作るためには、尊敬と思いやりの気持ちが大切だということである。

こうゆう実例の出しかたはいいですね。日本の歴史の勉強にもなります。「出し惜しみしない」「照れずに出す」「謙虚に学ぶ」というスピリットを解説する実例として、とてもいい。人々に関心の高い時代のチョイスもニクいところです。
こんな、シンプルながらもなかなかできない人が多いことを、特に「照れずに出す」ということがしにくいパーソナリティの人が増えているいま、ブログの普及というのは世の中に一石を投じるムーブメントだと思いますし、これからその役割はどんどん変化していくものと思います。

うちこの日記はただの柔軟日記ですが、こんな私の生活の中にも日々ささいな学びがあって、記録しておきたいことがいっぱいあります。ブログを通じて、「メジャーじゃないけど、自分にとっては価値があったと思うこと」を通じて読書仲間が増えているのもとってもありがたいこと。まさにオンライン野山獄です。