うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

彼岸花(Equinox Flower / 映画)

この映画はいろんなことに置き換えてみることができて、じわっと考えることが多いのがよいです。説得というのは外圧でできるものではなくて、相手の中に諦めがついて、やっと納得に変わっていく。そういう心の普遍的な題材をコメディで観せてくれる。


それにしても、人間関係の描き方がほんとうに巧み。恋じゃなくてもエゴとエゴのシーソーゲームは起こるし、人間は矛盾だらけ。
結婚に限らず、受験、就職、転職、契約、ビジネスのアライアンス提携……あらゆる「こじれ」はたぶんこういうことなのだと思う。ガス抜きと知恵とユーモアの大切さをしみじみ感じました。

 

それにしても、あのおじさんたちったら、またやってる!

三人でセクハラ的トークをお茶目に展開するおじさんたちは『秋日和』と同じメンバーで、この人たちは重役をやらせるとやっぱりすごくいい。わたしはこの映画を観て、あることに気がつきました。なぜサブリン(佐分利信)はこういう「無理解で強引な重役おじさん」をやらせるとハマるのか。

サブリンの輪郭が、どうも田中角栄(元首相)に似ているんですよね……。声は200倍甘くマイルドにしたようなすごくいい声なのだけど、髪の毛の生え際と顎まわりの肉付きが、なんか似てる。

実年齢は田中角栄のほうが若いのだけど、二人ともわたしにとっては昔の人だから誤差。サブリンのスーツ姿が、子供の頃に認識した「ザ・偉い人」のテンプレートにハマる。(わたしが新潟生まれというのもありますが)
北竜二はヒトラーみたいだしサブリンは角栄みたいだし、そら雰囲気も出るわ!

 


そして、このクッパ大王みたいな田中角栄的おじさんが、ピーチ姫みたいな有馬稲子を家に軟禁するのだから大変です。マリオを100人UPしても足りない。
そしてこのピーチ姫を救うマリオ×ルイージ的な存在が

 

 

  浪花千栄子×山本富士子(母娘役)

 

 

最強。この二人の大活躍に大いに泣き笑いさせてもらいました。
早口の京都弁が最高で、上品な言葉遣いなのにやってることがおもしろい。字幕なしでも全部聞き取れておもしろい。何度も見たくなる。
前半に展開される関西×関東のおばちゃんお茶飲み漫才も最高です。

 

 

  浪花千栄子×田中絹代(奥様同士)

 

 

この映画一本が大御所女優たちの漫才対決みたいになっている。
お上品にすてきな着物を着て、おもしろいことを言いまくる。どうなってるの。
佐田啓二が無地の白トレーナー×超普通のグレーのスラックス×サンダル履きというファッションなのに死ぬほどかっこいいのもなんとかしてほしい。

 

この映画は、いろいろ価値観をひっくり返しすぎです。
サザエさんのフネさんのような田中絹代が戦争時代の話をする場面もよかったし、とにかくお母さんの表情が全部いい。箱根と蒲郡へ行ってみたくなりました。

 

彼岸花 ニューデジタルリマスター版

彼岸花 ニューデジタルリマスター版

  • 発売日: 2013/11/27
  • メディア: Prime Video
あの頃映画 松竹DVDコレクション 「彼岸花」

あの頃映画 松竹DVDコレクション 「彼岸花」

  • 発売日: 2013/07/06
  • メディア: DVD