うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

蛭子の論語 自由に生きるためのヒント 蛭子能収 著


リニアモーターカーのニュースに対して、ラジオで「そんなにみんな、忙しいのかな。ぼくは新幹線でじゅうぶんだけど」とつぶやいたのを聞いてから、信用している蛭子さん。
この本で感じた蛭子さんは、平等さを重視しているように見えました。それは横並びの平等だけではなくて、縦並びも含めて。だんだん条件を地味に上乗せしてくるようなことのないフラットな人間関係。
こういう感じはほんとうに共感するところで、わたしも年々、シンプルな積み重ねでしか信頼は築けないものだと感じます。一時的な高揚感でできあがる信頼関係って、長く続かないんですよね。

この本は論語への感想で構成されているのですが、孔子の残した言葉で「これはどうかな…」と思うものに対して述べられる理由がすごく現実的。安定感がある。
以下は孔子に共感する意図の箇所からの引用ですが、

 人間って、「まわりが自分のことを理解してくれない」とか「本当の自分はこうじゃないはず」とか思いがちですよね。ただ、自分が本当に理解されることなんてあるのかな?
(第四章「蛭子の軸」 自分を理解してもらおうと期待しない より)

始終、こんなトーン。
蛭子さんはわたしから見たら親世代なのだけど、全くそう感じさせないところがあります。自分よりも若い世代の人の意見を聞いているような気分になる箇所も多々ありました。
かと思えば約束を先約順にこなしていくこととか、平等にこつこつ対処していくことを重視しているところは尊敬すべき大人のたたずまい。論語よりも沁みたりする。

他人を値踏みすることにエネルギーを割かず機嫌よく日々を回すコツが、自己流で確立されている。
そして何より、大好きな競艇について語るときの語調がよいです。楽しむこと・楽しみにすることの価値を自分の生活の中に組み込むスタンスが、シンプルに「好き」で統一されている。楽しむことは楽しむ、そうでないことにはこだわらない。
ひとりぼっちを笑うな」もよかったけど、この本もおすすめです。


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