うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

ひとりぼっちを笑うな 蛭子能収 著


エビスワミの新刊きましたー。ラジオで知って、買いました。「正直エビス」が、すごくよかったのでね。
わたしは、暇さえあればやりたいことがある人の言葉が好きです。まわりにそういう人はあまり多くいません。趣味で○○をしていると言う人はいても、言ってるだけで群れてる。言う人ほど群れているかも。群れるために言うのかな。よくわかんなくなってきた。

群れの特性を知って生きている蛭子さんは、「かもしれない」という語尾も多いのだけど、「許せない」という語尾も多い。二元論を超えるのではなくその真ん中にいながら、グレーな状態があたりまえだという前提でかっこよく生きようとしない。そのスタンスに励まされる。この感覚には見覚えがある。
この本を読みながら、夏目漱石の「坊っちゃん」を何度も思い出しました。この本の中で蛭子さんが語っていることは、まるで「坊っちゃん」の語りのよう。家族でも友人でも、お金が絡んだら面倒なことになる、人間のきれいごとではすまないところもいろいろ経験したうえで発せられるつぶやき。ところどころ、夏目漱石と重なる。
大人になって、有名になってから実兄と一緒に遊ぶときも

そのときひとつだけ気をつけていることがあるんです。それは、自分はいくら使ったのか、兄貴に知られないようにすること。
(お金は借りるのも貸すのも嫌い より)

という。
「おまえは世間体や体裁が整うように動いてくれればそれでいい」「金さえ出してくれればそれでいい」。親族といったって、兄弟なんて、そんなもの。と思ったことがわたしもある。


エビスワミは

「友だち」を作る努力をするくらいなら、「家族」を作る努力をした方がいい。

ともおっしゃる。
これは、親子関係よりもパートナー(夫婦)のことを指していて

互いにわかりあえた相手としゃべることが、僕にとっては一番大事なことなんです。自分が言うことを理解してくれる人と話したい。

という発言につながる。ゆるい新書なのだけど、いろいろジーンと来る。



気合の入っていないプリミティブな仕事意識が、こんな言葉で登場します。「よいことも悪いことも、自分の漫画に対する感想や評価はすごく知りたい」という蛭子さん。

深読みすると……雑誌の巻末の感想欄なんて、ひょっとしたら一部は編集者が読者のふりをして書いているのかもしてない。ただ、それはそれで編集者としては上手いやり方だと思ってしまいます。
(人の意見を取り入れる より)

こういうかんじ、たまらないなぁ。踊る阿呆と見る阿呆が乖離していなければ、ただそれだけで、好きなことなら頑張れるというこの感じ、わかるー。



この世に生まれて一番の喜びは、自分の考えていることを実現することだと僕は考えています。
(おわりに より)

って、はじめの感想と同じことを書くけれど、わたしはこういう、暇さえあればやりたいことがある人の言葉が好きです。
やりたいことをやるには、物理的に手足を動かす時間やそれを観察する時間も必要だから、人づきあいに悩むきっかけごと避ける。そういう Way of Life が漂いまくりです。これはたいへんヨギックな本です。


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