うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

おとなになるってどんなこと? 吉本ばなな 著


いっけん高校生や大学生へ向けてのメッセージのようでありつつ、おとな向け。
おとなと言われる年齢になっても、100%おとなの人って、ほとんどいない。そういうもんだ、ということが書かれています。
かといってなんでもかんでも肯定しますよ抱きしめますよって感じでもなく、あわてずに自分が子どもの頃から好きだったことに向き合ってみてもいいのではないか、やりたいことなど焦って見つかるものじゃなし…、どうぞご無理なさらず。というトーン。

最後にあるインタビューに、これは! と思うコメントがありました。

 ある程度の年齢になると人間は得意なことに逃げるようになるんです。そうすると得意なことがだめになっていきます。上手くいかないことを得意なことで解消するというサイクルに陥ってしまうと、得意なことが得意でなくなっていくし、楽しくなくなってしまいます。

得意なことが得意でなくなっていくというのは、ほんとうに悲しい。もはや愛憎関係ですらなくなってしまうほどの、関係の終わり。


自分が「おとなげない」と感じることは誰にでもあると思うのだけど、この本には愛情の限界のようなものも少し書かれていて、すごく正直だなと思いました。
自分を護ることとオープンであることの両立とか、おとなの悩みに響く題材が、すごーくじんわりきます。