うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

プロカウンセラーのコミュニケーション術  東山紘久 著

昨年読んだ『プロカウンセラーの聞く技術』に衝撃を受け、こちらも読みました。
この本は『聞く技術』と同じく “聞けないマインド” を掘り下げる内容ですが、その目的が “人格の成長” に置かれています。
特に京都のコミュニケーション文化の紐解きや宗教の役割の解釈には頷くところがあり、話を聞けない=自分を成長させる気がない、あるいは葛藤の二律背反を理解していないという事実を突きつけられます。

 

以下はわたしが自分の心の調子がよくないと感じるときに自己点検をするのと似た考えで、やっぱりそうだよな、と思いながら読みました。

 悪口や小言を言うとき、言う人はどこかに不全感や老いがあります。自分の仕事が十分にできていたり、心が充実しているときには、人間は誰かの悪口を言わないものです。疲れているとき、年をとって精神が老いてきたとき、人に対する悪口・小言・欠点指摘が増大します。
(6 他人への悪口も身の内のこと より)

わたしは自分の中で悪感情が起こると「受験の合格を知った後の数ヶ月間なら、こんなことは気にも留めなかっただろう」「フルマラソンの35キロ〜完走直後なら気にもとめない」と、心の記憶を使って自己確認をしてきましたが、もう受験ネタのほうは記憶が薄れています。

これは精神というより脳の老いなのだけど、精神も脳も同じものと思ったほうがよさそうです。

 

 

この本は自我や感情を引っ込めて聞くことは、自分自身を削るのとイコールじゃないんだよということを教えてくれます。
そもそも削るとか目減りするという意識のありようが人間として器が小さい。そこを越える気があるのかと問うてくる。孤独・孤立の問題の根っこをぐりぐり掘られる。

 

17年前に出版された本ですが、現代では親友がいない人も多いと書かれています。
アルコールの問題についても言及があり、依存症の説明のなかで言及されていた、ドストエフスキー私小説といわれている『賭博者』を読んでみたくなりました。