うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

余計な情報を渡さない場面に出くわしたときのこと

もうすべてが自分の中ですっきりした、わたしの日常の中で起きたこと。今年の夏のできごとです。
仕事帰りによく通るエリアで何軒か、月に1回か2回行く中華料理屋があります。以前は同じ圏内にもう1軒あったのですが、そこは今年の春に建物の取り壊しでなくなってしまいました。そして残りの2軒のうちのひとつも、なんとある日「今月末で閉店」という張り紙が貼られ、ガーン・・・。

以来、週に1回のペースで行きました。知ったのが閉店の3週間前だったので、行けたのは2回。今日書くことは、その2回目の日のできごとです。


いつも決まった曜日と時間に行ってワンパターンな注文をするせいか、店主のおじさんはわたしをほんのり覚えてくださっていて、いつだったか「(今日は)焼きそば(のほう)だっけ?」と聞かれたことがありました。
常連というわけでもない、ざっくりと注文の傾向を知ってもらっているだけの客のわたしは、閉店するのは淋しいけれどもうこの建物も古いですしねなんて会話を切りだすこともできず、でもなんとなく淋しがっている思いを念力で伝えたい、そんな気持ちでその日も焼きそばを食べていました。

食べている間に、お客さんがひとり入ってきました。店主はもともと誰に対しても親しげに話しかけることがなく、日本語もカタコトです。
そのお客さんは「閉店するんだって?」とか「閉店の張り紙を見てさ」と何度も言います。張り紙を見たのはわたしも3週間前のことだったので、ああこの人は今日知ったのかと。
そのお客さんは「なんで辞めるの?」と何度も店主に聞くのだけど、店主は「からしは要ります?」などの返答で、するする~っとはぐらかします。何度目かのやり取りで、それにしてもこのお客さんしつこいな…と思っていたら、
店主が

 

 

  あなた、今日はじめて来た

 

 

と言いました。

 

 

  そうだよ。閉店するって書いてあるから入ってみたんじゃないか

 

 

とそのお客さんは言いました。

 

 

 (なぁ~んだ)

 


閉店とか終了とか解散とかそういうコンテンツに惹きつけられる気持ちをここまで隠さずに示す人をリアルで見たことがなかったのでちょっと驚いたけれど、表面化していないというだけで心の世界では日常のこと。アジア人を目下に見たふるまいもしかり。
そして店主はそんなこたぁお見通しなのよという安定のスルーっぷり。このお店の居心地のよさはこの心の技術に支えられていたのだなということに気がつきました。

 


── お店が閉店してから1週間後。
なんとなく癖でまたその前を通ったら花輪がたくさん並んでいて、別の中華料理店がオープンしていました。複数展開するお店の◯◯店として進出してきたようで、なるほど居抜きで譲渡とは華麗なエグジットだわー、おじさんやるね! と思いながら入ってみました。
厨房には男性が二人。若い男性の声で、いらっしゃいませー!ときた。威勢がいい。
そして女性たちのイラシャイマセー!がつづく。デジャヴ。あれ・・・、このサウンド、このハーモニー・・・

 

 

 女性メンバーに変化なし

 

 

おばさん(店主の妻)も、おねえさんも、その中間くらいの人もいる。
厨房にいるのは息子さんと誰か? おじさんはいない。他のお店で修業をしてきてブランド名も差し替わるので閉店したという流れなのかな。
その後も行くたびにおしぼりやテーブルクロスが変わって、ちょっとずつ変化してる。わたしもいろいろなメニューを試してる。
辛いメニューがおいしいこともわかってきた。ヤングだわー。

 

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