先日行ったミャオ族の展示会場で、これはじっくり見たいと思って買って帰った本。
表紙側の帯に、こう書いてありました。
王侯貴族のためでなく
家族のための
途方もない手仕事
背表紙側の帯には、こう書いてありました。
子どもや身近な人を守りたい
魔除けと祈りが芸術へと昇華した──
なるほど。
中にもその暮らしぶりの解説があって、ミャオ族は文字を用いないのだそうです。まるで筆の変わりに針を使うような、単なる飾りではない、バイブルのような刺繍。
そしてときには女性の履歴書のようにもなる。刺繍を見れば根気、忍耐、性格、感性、技量が一目瞭然。医療設備のない山の中では、子どもが元気に育つ保証はむずかしく、こんな言い伝えがあるそうです。
「邪悪なものは布目から入ってくる」
この部分を読んで、すべての疑問が明らかになりました。
縫う作業は、神と一体化するような、まさに祈りのような行作。
でも楽しんでいなければここまではできないだろう、ということも写真に添えられたコメントの中にあり、わたしもほんとうに、そう思うのです。
図案、色使い、まるで喋りだしそうなモチーフばかり。圧倒されるだけでなく、ページをめくるたびに笑顔になれる。とてもすてきな本です。