出だしからいきなり、「ピースなら断然、又吉派」の女の子たちの会話が楽しい。(理由は、本をいっぱい読んでいて、何気にお洒落だから、とのこと)
女子中学校のヒエラルキー闘争が、ベルばらオタクみたいな女の子の目線で語られ、進行していく。とにかくうまい。
こんな調子は痛快。
危うくトングを取り落としそうになった。ロベスピエールばりの恐怖政治ではないか。
(第1話 ギロチン より)
マリー・アントワネットが処刑される前に述べた言葉をふと思い出す。
──不幸になって初めて、人は本当の自分が何者であるかを知るものです。
(最終話 王政復古 より)
わたしには、担任教師による本音の吐露の場面が沁みた。
自立したいと言いながら群れるチャンスを探す大人も多いなか、女子成分炸裂の中学生たちが派手に悟っていくストーリーは爽快で、デトックス効果満点! 差別感情を立体的に描きながら、全体を均衡させるバランス感覚。いいわぁ。
読みながら、まえにヨガ教室でインストラクターさんたちがこの小説と同じようなマインド闘争をやっていたのに巻き込まれたことがあり、そのときのことを思い出した。何歳になっても、女性ならば油断すると巻き込まれかねない、「すぐそこにある恐怖」が軽やかに描かれています。
▼文庫が出てます
▼Kindle版も出てる