うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

「神道」のこころ 葉室頼昭 著

図書館で借りて読みました。テルテルさんのブログにこの本の写真があって、なんとなく気になったので。
旅行記を書いている間に読み終わっている本が4冊たまっています。なにからアップしてもよかったのですが、今日仕事の合間に離れたオフィスで飛び石ミーティングの待ち時間、お茶につきあってくれた古賀ねいさんとしたお話とちょっとつながっていたので、今日はこの本にします。

この本の著者さんは公家の家に生まれ、医学博士、外科病院開業医を経て、牧岡神社、春日大社宮司となったかたです。その経歴を経るなかでの学びと神道東洋医学の哲学について、インタビュー形式でまとめられています。とっても読みやすいですよ。いくつか、心に残したいメモを引用して紹介します。

<71ページ 「東洋医学のふしぎ」より>
それ(西洋医学)に対し東洋医学は全く違って、人体を宇宙として見ているわけです。(中略)宇宙はどうなっているかというと、第一にバランス、太陽とか地球とか、いろいろなもののすべてのバランスによって成り立っている。だから人間の体もバランスによって成り立っている。バランスが崩れたときが病気だということです。その崩れたのを「証」といいます。わかりやすくいえば症状です。ここが痛いとか、かゆいとか、いろいろな症状が出る。だから症状に一つずつ応えてあげれば、もとのバランスが戻って健康になると、こういう考え方です。

たまたま、きのうヨガ仲間のゆきんこと話したのですが、彼女も私も、身体の調子の「なんか嫌だなぁ」という部分と「つきあう」派。別に生活に支障もないし、わざわざ特別視して向き合わないから、治療するという発想がないんです。でも、毎日その変化には「つきあう」というスタンス。この著者さんのいう「証」に応える方法が、「身体を思いやるでもなく、なにかに頼りたい」という、身体と心がごちゃまぜになったような人が多い気がします。

<79ページ 「東洋医学のふしぎ」より>
僕は西洋医学の医者だから東洋医学の陰陽五行説だとか、そういう説はもちろんあまり詳しくは知りません。僕が考えているのは神道というか、それから見た宇宙です。(中略)神道というも、東洋医学というも、根本は同じものです。宇宙の仕組みはどのように作られているか、毎日勉強しているけれども、それを原点としている神道も、また東洋医学も真実を行っていると思う。

東洋医学とヨガ、気功、神道のつながりは、本を読めば読むほどあちこちで引用しあっていますね。なかよし。

<89ページ 「東洋医学のふしぎ」より>
僕の東洋医学というのは、ただ鍼をしていたらいいというのではなくて、宇宙の仕組みはこうなっている。その宇宙の仕組みに従って生きるのが本当のことだと言っているわけです。生かされていることに感謝する。これが健康の基本になるわけです。(中略)自分で生きていると思うから病気するんですよ。悩み、苦しみはすべて自分で生きているというところから出発する。自分で生きているということはあり得ない。そんな生物は一匹もいない。生かされているという本当のことを知りなさい。そうしたら感謝するこころが生まれるでしょうということです。

悩み、苦しみについてのところは、仏陀のようですね。神道の特徴として感じたのは、「感謝のこころ」という芯。足るを知る、だけではなく、感謝。書店に平積みのお仕事啓発本より、こうゆう本を読んだ方がいいと思います。

<143ページ 「神道のこころ」より>
「けがれ」というのも、汚いという意味とは違います。神さまからいただいたエネルギー「気」を枯らしてしまうものという意味が、「けがれ」=「気枯れ」です。人間の素晴らしい神さまからいただいた身を包んでしまうもの、尊い神さまの気を枯らしてしまうようなものを身につけていると、病気になったり不幸になったりするわけです。それを水の力によって祓う。これが神道の儀式で「祓い」ということです。水にはそれだけのすごい力があるのです。

日本語の由来って、本当によくできている。古賀ねいさんと今日、「肩」にちなんだ身体と気持ちの表現の話をしたのだけど、帰りの電車の中でもあれこれ思い出していて、うちこ的に一番「座布団を何枚もあげたい」のは『肩透かし』。相撲用語って、興味深い。

<201ページ 「素白の心・宇宙のいのち」より>
待つということ。これがもう一つ大切な点なんです。いま言っている進化がそうなんですが、氷河期が来たら。寒さに耐えるように順応して、寒さがなくなるまで待つというのが原点なんです。だから順応プラス待つことができない生物は滅びている。いかに待つかということなんです。ところがこの頃の人間は待てない。
(中略)車に乗っても一台でも前に行こうとする。駅のエスカレーターでも一分も待っていられない。エスカレーターを駆け上がっていく。なんでもないみたいに見えるけれど、そのような人は滅びるんです(笑)。いや、本当なんです、冗談ごとではない。待とうとしない生物はみんな滅びているんです。

もうね、「反省」とプリントされたTシャツがあれば、今ここで着ます。というくらい反省。東京にいるときの私は、エスカレーターで迷わず右列いっちゃうし。確かに、日々滅びている気がします。疲弊している、とかではなく「滅びている」というのが、なんでこんなにしっくり感じるのだろう。


こうゆう本を通勤中に読むと、毎日穏やかなうちこちゃんで一日を終えられそうなのですが、まだまだ修行が足りません。今日は、しっかりお盆休みを取って浦島太郎状態の人が、普段家族への愛情発言や趣味没頭発言はするのに、お盆も休まず頑張っている同僚のことはいたわれない様子を見てしまい、すごくやるせない気持ちになってしまったのだけど、そんな場面にでくわしている同僚の「肩を持つ」状況にいられたことに感謝をしないといけないのだな、と思います。
意味もなくヒステリックな人を見ても、そう。理不尽な状況の当事者になるよりも横にいるほうがつらいのですが、いろいろな場面で「感謝」のバリエーションをふやしていかないと、まともな大人にはなれないのかもしれません。

「神道」のこころ
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