うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

きりぎりす 太宰治 著


読んだ後に、「こつこつ、がんばろう」という気になる不思議な作品。
画家と暮す奥さんが、夫に対する思いをひたすら語る。

いい画さえ描いて居れば、暮しのほうは、自然に、どうにかなって行くものと私には思われます。いいお仕事をなさって、そうして、誰にも知られず、貧乏で、つつましく暮して行く事ほど、楽しいものはありません。

ごもっともなんだけど、


世の中の成功者とは、みんな、あなたのような事をして暮しているものなのでしょうか。よくそれで、躓ずかずに生きて行けるものだと、私は、そら恐しくも、不思議にも思います。きっと、悪い事が起る。起ればいい。あなたのお為にも、神の実証のためにも、何か一つ悪い事が起るように、私の胸のどこかで祈っているほどになってしまいました。

これはもう呪い(笑)。でも支援者やファンの心理って、こういう方向に転じるものだと思う。



前向きに読むと、「がんばろう」
後ろ向きに読むと、「こえーーー」


という小説です。


▼紙

きりぎりす (新潮文庫)
太宰 治
新潮社


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きりぎりす
きりぎりす
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(2012-09-27)