うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

ソウルコレクション 心にエネルギー補給する40の物語 光野桃 著

これもヨガ友・ユッキーの家の本棚から借りてきた一冊。明らかに自分では買わない本のチョイスなのだけど、こうやって借りることで縁ができるのは、おもしろい。


30代後半の女子にぶっ刺さりそうなエッセイだな、と思う。
わたしはこの日記で、いわゆるパワースポットといわれるところの旅行記なども書いているけれど、もともと少しヲタ的な研究癖で出向いているのでヨガの歴史探訪色が強い。あまり「自分にとってどうだったか」という視点で書いていない。だけど、この本で読んだ文章のように、最後に女性としての人生へのフィードバック要素をつけ加えて書くと、エッセイになるんだな。と思う。
よく考えると、同僚の女の子たちの話は「私にとって特別だったことの話」ばかりだ。わたしの場合も、「ヨギの私にとって特別だったことの話」ってだけで、結局は「自分にとって特別だったこと」を語ってる。
どうせそうなら、やっぱり文章は素敵なほうがいい。この著者さんの文章には、「膝を打つような上手さ」はないのだけど、いつも少し「反省」が混ざっている。「あなたと同じように悩んでいるわたし」という感じがする。なので、"モノ" に感じる "気" のことなどが書かれていても、なんとなくそんなに、嫌な感じがしない。「いま、こういうことに特別な意味を感じているわたしなのです。いずれは過去のことになるのでしょうが」という雰囲気があるからかな。


何箇所か、紹介します。

<49ページ 「手紙」より>
 文章は肺活量と関係している。私は肺活量が多いから、句読点の少ない行替えのない文を書いて、よく編集者に注意される。

激しく共感。文章を書いていると、補正しながら「自分は元来、ものすごく呼吸が浅いし、よく止まってる」ということに気づいてしまう。


<60ページ 「仕事」より>
 仕事は、大胆な決断力と、濃(こま)やかな心配りとのバランスの作業だ。どんな仕事であっても、そのどちらかが欠けたら上手くいかないだろう。

個人にフォーカスをすると、同感。巻き込んでいく相手も含めた視点では、「仕事は、ちょっぴり強引でも推し進める力と、チャームの陰陽進行だ」と思う。


<99ページ 「自分の胸」より>
キャミソールが欲しくて輸入下着の店に買いに行ったときのことだ。お揃いのブラも、と店の人に告げると、揃っているものはないと言う。そして欧米の人々はキャミソールやスリップと、ブラを一緒にはつけられないのだと教えられた。
 そういえば映画でも、スリップにブラをしているシーンは一度も見たことはない。ローレン・ハットンやドミニク・サンダが、キャミソールの下にブラを着けている図はどうしたって思い浮かばない。あくまでさらりと素肌にじかに着る、それが下着の伝統のある国の「胸の美意識」なのだろう。
 キャミソールの下に、がっちりとしたブラをつけるのは、実際にやってみても不自然な感じだった。柔らかいシルクのものでも、シャキッとしたコットン製でも、キャミソールはそれ一枚で完成された雰囲気があり、そのなかで泳ぐ胸の可愛さを楽しみたいと思う。

鉄仮面にベールをかぶせるような違和感。
わたしは下着を着けるのがあまり好きではないので、海外でノーブラにキャミソールで歩いている人を見て「いい環境だ!」と思うのだけど、同じことをできないんですね。凹凸や陰影にエロスを感じる国の人だからなのかな。


<222ページ 解説 ─ 知性の果実、ある生き方の実例  温水ゆかり(解説文) より>
光野さんの言っていることは、大変シンプルです。他者の欲望を自分の欲望と区別し、自分の心映えで生きよう、ということです。「外見」と「内面」にアーチを架ける方法はこれしかない。もっと別の言い方をすれば、他者によって評価される「外見」を内面から立ち上げる術はこれしかないのです。

『他者によって評価される「外見」を内面から立ち上げる』って、強いなぁと一瞬思った後に、ヨギっぽい。と思いました。



たまにはこういうOLっぽいのも、いい息抜きになります。

ソウルコレクション 心にエネルギー補給する40の物語 (集英社文庫)
光野 桃
集英社
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おすすめ度の平均: 4.0
2 ゆとりある暮らしとは何か、が説かれるエッセイ
5 ファッションにはとんと疎いのですが・・・好きですよこの本
4 心が弱気になりそうなときに
3 おしゃれ。
5 つかれたあなたに☆