うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

はみだし版 おじさんと「ジム・モリソン」の墓参り

1月26日からのパリ旅行日記を追っかけで書いているのですが、2月1日は内容が盛りだくさんなので、午前中に行った「ペール・ラシェーズ墓地」のことをはみだし版として書きます。パリ滞在中にお世話になったリチャードが、時間があれば墓地も見たほうがいいよ、とすすめてくれて、そのなかであげられた偉人に混じって「ジム・モリソン」が出てきたので行くことにしました。1月30日の日記に書きましたが、ジム・モリソンについてはアパート見学もしてきました。なにかひとつ、ヨガとベルばら以外に自分なりに思い入れのあるテーマをこの旅の中で見つけられたのは本当によかった。雑学王のリチャードに感謝。


▲2月1日の朝、ペール・ラシェーズ墓地へ。パリの墓地の中でも最大のここは、本当に広い。

▲墓地正面入り口前の花屋で真っ赤な薔薇を一厘買いました。(3ユーロ=480円)ものすごい芳香。

▲入り口で地図を買おうかな、と迷いましたが「地球の歩き方」にざっくりとした地図とジム・モリソンの墓の位置もそのなかにあったので「とりあえずそれらしい方向へ行けば大丈夫かしら」と思っていましたが、歩き出したらとにかく広い!このように番地の看板みたいなものはあるのですが、「地球の歩き方」にはそんなに詳しくは載っておらず、近くまで来ているのにいっこうにお目当ての墓にたどりつけなくて、途方にくれていました。

▲そこで出会ったのがこのおじさん。ミシェルさん。墓石屋さんで、自分の手がけたお墓を見回りにきているところでした。おじさんはかなりのフランス語訛りですが英語が話せます。長くこの墓地に関わっているので偉人の墓の位置とエピソードのデータベースがすごい。ひとりの墓なのかファミリーで眠っている墓なのかまでひとつひとつおしえてくれました。ちなみに後ろに写っている人は私服警官。あとで登場します。

▲ミシェルおじさんのおかげでジム・モリソンの墓にたどり着けました。このお墓は、写真でも拡大すれば見えるとおり、上部の左にピンのようなものがあるのですが、以前はそこに首から上の像が乗っていたのですが、ファンに盗まれてしまったそうです。

▲マナー的にNGと「地球の歩き方」には書いてあったのですが、ミシェルおじさんが「せっかくわざわざ遠くから来たんだから、いいんだよ」というのでシャッターを押してもらいました。さっき書いたとおり、熱狂的なファンのいたずらがすごいので(掘り起こそうとする人がいるのでしょうか)ジム・モリソンの墓だけは柵があり、そのうえ私服警官までいました。柵を越えてお花を置きに行ったら、私服警官が「ちょっとちょっと!」と引き止めるようなことを言ってきましたが、ミシェルおじさんがフランス語でブロック。写真を撮っている間も天然なオッチャン的ノリで助けてくれました。
このあと、おじさんはお礼は気持ちでいいから、せっかく来たのだしここにあるインターナショナルな偉人たちのお墓を見ていくといいよ、と言う。ここでお別れするのも少しさみしい気がしたので、提案にのることにしました。ふたりで「地球の歩き方」の偉人リストを見ながら、「この人知ってる?」「知ってるー」などと確認をして計画を立てて、墓地ツアー開始。ここからおじさんとの約1時間半にもわたる楽しいデートが始まります。この墓地はとにかく広いので、次のお墓に行くまでに5分10分歩きます。その間に、おじさんといろいろな話をしました。ヨガ道場以外で現地のフランス人とまとまった会話をするのはこれが初めてで、今でもとても心に残っている思い出。フランス人にとってみれば、日本がどこにあるのかなんてわかりやしない。「オーストラリアの近く?」「ううん。コリアとチャイナの近くだよ」なんて会話とか、すごくリアル。おじさんがよく言う「ワラー」というパリ語の使い方もここで覚えました。日本語で言うと、「はいはいはいはい、わかるよ」とか、「そうねー」みたいな感じ。


ショパンの墓。毎日たくさんの人が訪れ、フレッシュなお花が飾られています。

ビゼーの墓。オペラ「カルメン」の作曲者。

ドラクロワの墓。画家。誰もが見れば「ああ」と思う「民衆を導く自由の女神」を描いた人。なんとなく仏教チックなデザイン。

バルザックの墓。小説家。

マリア・カラスの墓。20世紀最高のソプラノ歌手。偉人なのに、地下の集合墓地のようなところにあった。

▲これが集合墓地。ひとつひとつのパネルのようなものがお墓。とにかくたくさんある。

シモーニュ・シニョレ(左・女優)とイヴ・モンタン(右・歌手)の墓。最後は夫婦だった二人。イヴ・モンタンエディット・ピアフと愛人関係だった時期があり、ピアフの墓もこの墓地にある。おじさんの説明では、左の何もない感じのところがシモーニュ・シニョレの墓で、彼女の愛した白樺のような木が植えてある。

サラ・ベルナールの墓。舞台女優。

モリエールの墓。喜劇作家。「ベルばら」のはみだしエピソードにも登場していました。

エディット・ピアフの墓。三輪様のカバーでおなじみの「愛の賛歌」のシャンソン歌手。

▲ブガッティの墓。フォルクスワーゲンの車の名前なので、デザイナーか創始者でしょうか。妙に広い敷地にちょこんとお墓が乗っているのは、車ごと埋められているからだそうです。

オスカー・ワイルドの墓。「幸福な王子」の作家。たくさんのキスマークとメッセージが残されています。

このほかにも、各お墓の通過地点にあった「フランスでは有名だけれども、君は知らないよねぇ」という人たちのお墓についても解説をききながら回りました。画家や彫刻家のお墓には作品にちなんだモチーフがあり、「この人の作品はルーブルにあるよ」とか、本当にこのおじさんのデータベースはすごい。何年もたくさんの人たちに案内をしているのでしょう。

▲最後におじさんと記念撮影。この日はあまり現金を持ち歩いていなかったので、5ユーロ(800円)でお礼。お財布の中を見て笑いながら、「ああもう、これでじゅうぶんだよ」と言ってくれました。いま時分この物価の高いパリで、コーヒー2杯分にしかならないだろうに。最後はカメラに興味シンシンで、それまでに撮った写真を見ながら「ものすごい性能だねぇ」などと言いながら楽しそう。セルフタイマーでの記念撮影を楽しんで、帰り道を教わってお別れ。本当に楽しかったなぁ。おじさんありがとう。