うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

箱舟はいっぱい 藤子・F・不二雄 異色短編集


まえに紹介した「パラレル同窓会」と同じシリーズの短編集。この本に収められているものは「生き残るということ・生への渇望」がテーマになったものが多かったです。ズシリときます。
ネタバレしないよう、ひとことで感想を書いてみます。

  • 箱舟はいっぱい

ドラえもんの中に入れてもそんなにきつくない。


  • 権敷無妾付き

中年男性の悲哀。ある意味現実というか、事実というか。


  • イヤなイヤなイヤな奴

とてもおもしろい。人が団結する仕組みが描かれています。


  • カンビュセスの籤(くじ)

生き残りがテーマ。雪山で友人を食べて生き残る映画を思い出した。


  • 俺と俺と俺

ちょっと幸せな気分になる。


  • ノスタル爺

ミステリー。江戸川乱歩っぽい。


  • タイムマシンを作ろう

セルフパロディ。人間だらけ版の裏ドラえもんのような話。


  • タイムカメラ

この本の中に入るとふつうの話に見える。


  • あのバカは荒野をめざす

はげまされる。


  • ミニチュア製造カメラ

ふつうにいい話。


「どうせ転生するし」と人生を軽く考えることが普通になってしまった人の話。ブラックすぎ。輪廻を信じていなくても、こういう人っているなぁ、などと思う。




「イヤなイヤなイヤな奴」「クレオパトラだぞ」のような人間の黒すぎる本音を描きつつ、子どもの時間用に王道のストーリーも描くF先生。
どこまでもリアルな人間を見つめているから、夢も描けのだろうな。不浄を知って浄を知る、みたいな話が多かった。