まえに紹介した「パラレル同窓会」と同じシリーズの短編集。この本に収められているものは「生き残るということ・生への渇望」がテーマになったものが多かったです。ズシリときます。
ネタバレしないよう、ひとことで感想を書いてみます。
- 箱舟はいっぱい
ドラえもんの中に入れてもそんなにきつくない。
- 権敷無妾付き
中年男性の悲哀。ある意味現実というか、事実というか。
- イヤなイヤなイヤな奴
とてもおもしろい。人が団結する仕組みが描かれています。
- カンビュセスの籤(くじ)
生き残りがテーマ。雪山で友人を食べて生き残る映画を思い出した。
- 俺と俺と俺
ちょっと幸せな気分になる。
- ノスタル爺
ミステリー。江戸川乱歩っぽい。
- タイムマシンを作ろう
- タイムカメラ
この本の中に入るとふつうの話に見える。
- あのバカは荒野をめざす
はげまされる。
- ミニチュア製造カメラ
ふつうにいい話。
- クレオパトラだぞ
「どうせ転生するし」と人生を軽く考えることが普通になってしまった人の話。ブラックすぎ。輪廻を信じていなくても、こういう人っているなぁ、などと思う。
「イヤなイヤなイヤな奴」「クレオパトラだぞ」のような人間の黒すぎる本音を描きつつ、子どもの時間用に王道のストーリーも描くF先生。
どこまでもリアルな人間を見つめているから、夢も描けのだろうな。不浄を知って浄を知る、みたいな話が多かった。
箱舟はいっぱい (小学館文庫―藤子・F・不二雄〈異色短編集〉)
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