undo できるものならしたいのに！　という思考の火だるま

たぶんもう一年近く前のことだと思うのですが、なんだか昔よりもクヨクヨしやすくなった気がすると同世代のヨガ練習仲間のかたがつぶやいた言葉をずっと覚えていました。気のせいだとしてもわかるなぁ、そしてその感じはなんだろう…と思って覚えていました。
わたしは、これはベーシックな心のテーマじゃないかと思う感情のはたらきについて、時間をかけて観察するようにしています。ずっと意識の片隅に置いておくと、同じ瞬間を経験した人と記憶がフレッシュなタイミングで話すことができたり、話すことができなくても観察からヒントを得ることあります。

子どもの頃は失敗をしたり他者からそれを指摘されても "ぎゃん！"　て感じで、それをいつまでもこね繰り回さずに終了できていたのに、年々終了しずらくなっている。
ここ一か月の間に、わたしは自分も含めて似た状況を経験した人を複数見たのですが、そのうちのおひとりのかたが「恥じの感情を消そうとして、頭の中が…」というフレーズをヒントとしてくださって、それ！　と思いました。

　打ち消したい、なかったことにしたい

これは後悔とはちょっと違うというか、小さすぎて後悔にカウントされない、そういう感情。
後悔くらいの重量感があれば学びになりそうなところもあるけれど、そこまででもない。この「軽さ」がつらい。
もっとちゃちゃっと消したい感じ。判断の雑さを悔やんでる。これは、日々をていねいに回していきたいという感情があるから起こること。

わたしは「ああいまコントロールZ 押したい！（Win）」「コマンドZ押したい！（Mac）」という言いかたをすることがあるのですが、undo できるもんならしたいことを自力でうまく消化できるようになりたい。心の胃袋の消化力をあげたいと、最近よく思うようになりました。

消化するまで小さな火だるまが頭の中に残り続ける感じは、久しぶりに揚げものをたくさん食べたときの胃の状態と似ています。消化を促すためにあちこちから記憶を招集して、なんなら全く関係のない要件まで持ち出しちゃったりして、自分でも驚くことがあります。
子どもの頃や若い頃に忘れることをしやすかったのは、注意されて当たり前と思える立場だったこともありますが、そもそも生きた時間の総量も行動量も少ないから記憶が少ない。雑燃料が少ない。

さて。ところで。
「アラレちゃん音頭」って知ってますか？　わたしがときどき聖歌のように脳内で再生する歌で、めちゃんこめちゃんこと言うやつです。
この歌詞に、ブタさんや友だちと騒いでいたら怒られて「は～あぁ～　べっくらこーいたーあ　おこらりちゃーったー　ほよよでホイ♪」というのがあります。子どもの頃は、そうだったなとよく思います。
わたしはあの感じを少しずつ失っていったけれど、復活するときもある。それはインド旅行でよく起こります。

価格交渉で相手が不機嫌になって怒っている。でも怒らせている自分のほうが、法外に高い額からそうでない額へ近づけようとしている。ぼったくりが横行する状況では、先のようなアラレ・マインドがないとやっていけません。
なぜそのマインドを発動させられるか。これはたぶん、自分が挑戦者としてリングに上がっているという意識があるからじゃないかと思います。そこが基本的にアウェイである前提でいる。この緊張感が、旅の日々を充実させるスパイスにもなっています。

　打ち消したい、なかったことにしたい

この気持ちにはたぶん主成分が二つあって、選択を誤った悔やしさと、慎重さを欠いた後悔がある。それらが複雑に混ざり合っているときほど、分解と消化に時間がかかる。
自分がやったときには火だるまになるけれど、少し離れた視点で見ると、感情の消化力を上げるトレーニングに見えます。20代30代の頃のような完璧主義的な悔しさとは違って、いまは慎重さを欠いた後悔を味わうようになっているから。これは、違いのわかる大人になってきている感じ。

そんなこんなで。

大人のジレンマとしてのクヨクヨはたぶんそんなに悪いものでもないというか、いわゆる成長痛じゃないか。あらゆる失敗を「あらやだー！」と笑い飛ばす豪快おばちゃんキャラで乗りこなしていくにはまだ年齢的に無理があるというか、そもそも「ちゃんとやろうとしてください」という扱いがわたし世代の場合は生き続ければ90歳まで求められそう。

なのでこういう成長痛も、同時代を生きる仲間と確認しあえるとやっぱり助かります。失敗を恐れてどんどん行動しなくなるよりも、さりげない慰めネットワークを心のセーフティ・ネットにしていきたい。

わたしも先日ひとつミスそして、それがほかのことに影響してショボーンとしてるところ。・・・と思っていたらわたしにそのミスを伝えた人も雑にミス認定してしまったとのことで、べつにそれでもなんとかなるのに二転三転してごめんなさいと言われ、慰め合いになりました。

誰のせいでもない事って、日々たくさんあるものです。

▼クリスマスの聖歌が流れる季節ですが、わたしの聖歌はこれです