うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

(再読)立ち上がれ目覚めよ ― スワーミー・ヴィヴェーカーナンダのメッセージ

今年から英語圏の国で暮らす予定だったヨガ仲間に貸した本が返ってきました。わたしは日本語と英語が収録されているのがいいと思って貸したのだけど、読んだ人がどうもぴんとこなかったようなので、再読しました。

 

前回の感想はこちら


よくよく読んでみたら、完全対訳ではないのでした。日本語訳のメッセージはそれはそれで力があって、英文を読むとこれまたリズムと言い換えの連呼でがつーんとくる。メッセージはバガヴァッド・ギーターにあるテーマと多く重なる内容なので、ギーターをぎゅっと濃縮したものを読んだ気分ともいえます。


冒頭の人には新たなことにチャレンジするなら鼓舞されたらいいじゃないと思って渡してみたものの、その人は結局海外へは行けなくなってしまった。今年は気合いの向けどころを失ってなんとなく梯子を外されたような気分になった人が多いかと思います。

そしてもうすぐ今年も終わり、翌年が始まろうとしている。そんな2020年のあれこれを抱えたまま再読しました。

 

今年は目に見えないものに振り回されたこともあって、以下の場所に付箋を貼りました。

力は生命であり、弱さは死だ。自分を身体的に、精神的に、霊的に弱めるものは、毒のように吐き出しなさい。
(力と信仰 より)

この「毒のように吐き出しなさい」がすごくいい!英文の方にはこれにあたると思われる表現が見当たりませんでした。
このような英文でした。

This is the great fact; strength is life, weakness is death. Strength is felicity, life eternal, immortal; weakness is constant strain and misery, weakness is death.
(Strength and Faith より)

この日本語をあそこまで要約してあんな感じにするなんてすばらしい!と思いながら読みました。
わたしの脳内日本語訳だと「弱さは常にみみっちい考えを増幅させる。弱さは死だ」って、昭和の江戸っ子スパルタおじさん風に仕上がっちゃう。

 


今回は「霊的な実践」の章が沁みました。
ただ勢いでいけばいい年齢ではないし、時代もかわって、さらに今は忍耐強さやおだやかさが求められるとき。

 穏やかで、動揺しないほど、良い仕事がなされるだろう。

 

 外側に表れている本性を抑えるのは、望ましいことであり立派なことだ。しかし、内在する本性を抑えるのはさらに立派なことである。人間の心の内側にある微妙な働きの秘密を理解し、その素晴らしい秘密を熟知して、内なる人間性を抑えるということは完全に宗教に属する。

(霊的な実践 より)

 行動を起こすのはよい。ただしそれは思考から生まれる。脳をよく働かせよ。高度な思いから最高の理想が生まれる。それを昼も夜も思い続けることから偉大な働きがなされる。

(霊的な実践 より)

「その素晴らしい秘密を熟知して、内なる人間性を抑える」というふうに自己・自我をとらえることは、対外的にどう振る舞うべきかに意識が向きがちな今読むと、はっとします。


英文のパートでは、最後に引用した部分に近い内容が書かれている以下の箇所のリズムに鼓舞されました。

Take up one idea. Make that one idea your life; think of it; dream of it; live on that idea. Let the brain muscles, nerves, every part of your body be full of that idea, and just leave every other idea alone. This is the way to success, and this is the way great spiritual giants are produced.

(Spiritual Practice より)

”every part of your body be full of that idea” に至る、脳・筋肉・神経・全身で行け!みたいな流れがたまりません。(また昭和の江戸っ子スパルタおじさんでごめんなさい)


「頭で考えるな」ではなく全身の一部としてちゃんと脳・神経を使え!というのがいいんですよね…。「頭で考えるな」って、頭で考えることに逃げている人に向けられる言葉なので、身体的行動を伴った人には「頭も使え」が刺さる。
わたしはスワミ・ヴィヴェーカーナンダのテキストからバガヴァッド・ギーターに入っていったので、入り口になるメッセージとしては何度読んでも入りやすいなと思います。

鼓舞とねぎらいが共存するシンプルな文章って、そらとうぜん宗教っぽくなるのだけど、だってそれが宗教なんだから!という感じでどっしり構えてる。それにしても、表紙の写真がすてき…。

 

 

バガヴァッド・ギーターとスワミ・ヴィヴェーカーナンダはそれぞれ本の記録リンクをまとめています。