うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

全ての流派に通じる、現代の太極拳バイブル 太極拳パワー 「ARCプロセス」で、内部エネルギーを足から手へ! スコット・メレディス著 / 大谷桂子(翻訳)

習いはじめて一年以上経ったので、太極拳の本を手にしてみました。運動やボディ・ワークは身体の中に照合するストックができてから書物に触れるようにしています。先生が知識はあとでいいとおっしゃるのでいまも型の名前のようなものすら覚えておらず、「ゆべい、の号令はサマスティティヒ」というふうに変換しながら覚えています。
ヒキがいいのかわるいのか、初めて読んだこの本はかつてアシュタンガ・ヨガをやっていた人が「太極拳こそ最強だ」と熱く語っているような内容。前半はいま読んでよかった! かかとの真うしろと背面への意識のしかたがぐっと変わって、ヨガの練習にもよい影響が出ています。この感覚はヨガの親方のいう「micro bend the knee」と一緒だったのだなということに気づいてから、どちらの練習も楽しくなっています。

著者が太極拳でも日常でも共通すると定義する以下の三つの状態は、ヨガでも同じだなと思います。

  • リラックス状態:今の姿勢を保つ以外に身体的力や筋肉を使っていない。
  • 緊張状態:今の姿勢を保つ以上に力と筋力を使っている。あるいは、その姿勢をさらに正しいものにしようと、それ以上の力が入っている。
  • へなへな状態:自分の持っている身体的力が全てとり除かれている。つまり、心(頭)が体に指令できなくなる(睡眠時、無意識の状態、泥酔状態)。

(115ページ 第3章 套路 ポーズ より)

身体がへなへな状態だと、泥酔者レベルの発言をしちゃうという逆パターンもあるな…なんて。緊張があって、リラックスがある。緊張と弛緩の中間について、この本は一生懸命説明しようとしていらっしゃいます。


呼吸の中間についての説明も、こういうのって文章にするのがすごく難しいなと思いながら読みました。

 心と身体の完全なるリラクゼーションが必要条件なのは何度も説明した。しかしそれだけではまだ足りない。ここではリラックスした後、丹田から発せられる振動を意識し、息を吸う時吐く時の継ぎ目で振動が止まらず継続的な波になるように意識しその感覚を掴むのだ。
(152ページ 第3章 套路 エネルギーの四つの側面 より)

オーバーフローさせずにフローする。地面から得たエネルギーを継続的に回す。ヨガの場合はムーラ・ダーラとされるから背骨の根っこだけれど、振動を回していく共通点はヨガの最中とまったく変わらない。

 

それにしても、なんかだか久しぶりにこういうトーンの本を読みました。小学生の頃に見た超常現象について外国人が語るテレビ番組のナレーションの音声で脳内再生されました。畑にミステリーサークルをつくったのはUFOだというような番組。来週はMr.マリック登場! なんて感じの、あの調子。

 

引用される言葉のなかにはラマナ・マハルシ、OSHO(ラジニーシ)、バガヴァッド・ギーターも登場し、各方面のテキストを引用しながら「こんなにさまざまな分野の覚者の言葉の意味をこんなふうに理解でき説明できるわたしは、すなわちわかっているのだ」と言われているような気がしてときどきどうでもよくなってしまう。知識をぜんぶ披露したくてしょうがないおじさんのウンチクを聞いているうちにヨガなんてもう一生やらなくていいやと思ってしまうときみたいに、シラケを誘発されてしまう。
終盤でこんなフレーズが出てくるのだけど、これはツッコミ待ち?

私は、格闘術としての太極拳についての質問となると多少分裂病的になる。(232ページ)

もうだいぶ前から分裂はじまっとったよー、と言いたくなる。言わせる技なのだろうか。つっこんだら負けなのだろう。これ以上は言うまい。

わたしはMr.マリックよりプリンセス・テンコー派です。