うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

さらさら流る 柚木麻子 著

厳密にいうとこの物語の展開がリベンジポルノかどうか、性質としては微妙。でも被害者側の視点では100%、いやこの小説の場合は200%、リベンジポルノだ。
アダルトチルドレン、アルコール依存、写真撮影、画像投稿、プロより素人、モラルハラスメント女の敵は女か問題。次から次へと訪れる試練。だから一気に読めるのだけど、読むのだけれど、編み上げたものを友情と希望でクロージングされたら、ちょっちょっちょっと待って~となる。「素人」のところが掘り下げ足りない。

 

わたしもこの主人公と同じように写真は好きに撮ればいいと思っているのだけど、リベンジポルノはこの時代、あたりまえに想定しておくべきことと思う。そしてふと思い出すことがある。それが新しいカルチャーとばかりに雑誌「anan」に一般人のヌードが載って本屋に積まれていた90年代だって、わたしにはすでに恐ろしかった。あれは女性向けの素人ヌード? いまひとつわからなかった。(またヤングを置いてきぼりにしてごめん)

 

男性向けの素人ヌードとは。その追求の先にあるのが幼女ポルノ? それはそれで別ものなのか? わたしはそんなふうに考えてしまうことがある。だからこの小説に出てくる主人公の先輩の発言を責めるような気持ちが発動しない。わたしは主人公の女性の敵なのか。たぶんここは主人公に感情移入して怒るところなのだろうという場面で、単純には怒れない。

 

この小説の中で最も気になるのは画像の流出元よりも、投稿される前の保管のされかた 。行動に移さないだけで、実際頭の中はこんな人が隣近所にもいっぱいいるってことは、検索ワードの関連キーワードを見ればわかる。電車の中刷りにもコンビニの雑誌コーナーにも、上目遣いの女の子の胸の谷間があふれてる。その環境で小学生が通学している。これは、わたしが子どもの頃からそうだ。

同情している場合ではないし、わたしはエロ画像に限らず「素人」「素人さん」という言葉がこわい。

さらさら流る

さらさら流る