友人宅で読み、途中で「ごはんできたよー」なんてこともあったりで、軽い気持ちで手を出したことを少し後悔しました。読み出したら止まらないうえに、ずしんときます。
もっと早く読んでおけばよかったと思うような話でした。ただ、マンガじゃなきゃ読破できない。「人間失格」を読んだときも思ったけれど、このシリーズはわたしのように長い小説が読めない者に、実にありがたい。
人は、自分を救ってくれると信じさせてくれる言葉を信じる。弱っているときほど断定を求める。言葉に対して、そんな反応のしかたがありますね。
あなたは◯◯を信じますか? という質問ほど回答の聖性を証明することが難しい質問はないのに、平気で質問する人がいる。そもそも、行動でしか示しようがない。だから答えはこの世を去るときに「◯◯を信じていた」ということになるだけ。でもその前にボケちゃうかもしれない。忘れちゃうかもしれない。
「"信じる"とは」という問いをひとりで立て、それを続けていくことはむずかしいし、しんどい。この本は、あれよあれよという間にその問いの世界に連れて行ってくれるうえに、しつこい。兄弟のふたりが理論と聖性で詰めてくる。このしつこさが、原作ではさらに密度の濃い網目のようになっているらしい。
まだまだ読むべき本があることを知ることができて、なんだか少し助かった気がする。いざとなったらまだまだこれがある、とでもいうような。
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