うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

はじめての専業オーガナイザー経験


少し前のことになりますが、手芸ワークショップの主催をするという経験をしました。オーガナイズなどと近年カタカナで目耳にするものを、実際やってみました。自分で経験の機会を設定しました。
わたしは過去に数回、講師あるいは通訳としてヨガのワークショップに参画させてもらったことがあるのですが、その数回のうちに、いろいろなことを思いました。主催者のかたはなんでこんなに献身的なことをやる気になるのだろう…という畏敬の思いも湧きました。わたし自身にそういうことを発案する気持ちが湧き上がったことがないので、経験しながら考えてみようと。
そして、これまでに受講者・参加者 / 講師・通訳の立場で思ったことを今度は主催者という立場で実行に落とし込むにあたり、やりがい搾取の構造にならないための要件を整理し、主催者という立場の人が行うことはなにか、その難易度はいかほどのものかを感じてみようと思いました。そして、実際に自分でやってみました。


わたしが過去の経験から逆引きして想定した主催(オーガナイズ・組織する・編成する)の動き出し要件は以下でした。

  • 開催地区・拘束時間・最低報酬・必要経費をファーストコンタクトの時点で明確に提示してから講師とのスケジュール調整に入る
  • 役割分担を明確にし、参加人数によって変動するコスト・収益の方程式を明確にする
  • 講師の最低報酬をオーガナイザー負担の前提で設計するか、最少催行人数と催行確定日を明確にする(不確定な日程拘束をしないため)
  • 講師発信による集客人数が半数以上という結果にならないように(こうなると主催者である自分の立場が微妙になってしまうと思った)


今日は設定を考える際の裏方の話です。開催確定までのTO DOの話。
わたしがトライしたケースは超小規模開催(10人程度)なので上記を満たすことができましたが、世間で広告スポンサー協賛のない手弁当的に行われているワークショップには、主催者や講師が構造的に泣いているものもけっこうあるのではないかと想像しました。そのくらい、不安でいっぱいでした。


やってみて思ったのですが、ワークショップを不安なく成立させるためには、主催者が以下を満たしていないと開催意志を持続するのがきついです。

  • 集客装置(箱や組織)、あるいは集客メディア・媒体、あるいは妄想ではない人脈を持っている
  • 行ったことのある会場リスト(あるいは会場)を持っている
  • 集客と会場確保に必要な費用を早い段階で確定することができる
  • 内容の魅力を十分に伝える表現力、あるいは外部に依頼する情報整理能力を持っている

前半の3つがないと交通費や宿泊費、移動時間も含めた拘束時間を確定し見積もることができません。最後の事項は広報スキルになります。自由に使えるスペースやスタジオ、特定の目的に対して一緒に学ぶメンバーや会員、あるいはローカルなつながり・人脈を抱えている場合には、前半の3つは比較的クリアしやすい事項かと思います。


そのうえで、

  • ためになる
  • たのしい
  • おもしろい
  • わくわくする
  • すてき or かわいい or かっこいい

などなどの内容の力が求められます。



さらに、まだあって…
これはたいへん恐ろしい現状でもあるのですが


宣伝色が強いと嫌われる。一方で、広く知られると対応工数がかさむ


という実状があります。
都会では割高なサービスを利用してくれる人に配るドーナツに行列ができたりしていますが、そのようなカオスな現状のなかで、宣伝色を嫌う人が多いのが実状です。一方で、広く知られてしまうと対応工数が膨らみ単価を上げなければならなくなるというからくりも不動のもの。機械的でない血の通った講座を開催するためには、モノも機会もあふれる昨今、いかに知りたい人だけに知ってもらえるような、文脈に濃度のある告知をするかという難易度の高いことが要求されます。
よくみんな、やっているなぁ…。と、ここは本当にしみじみ思いました。


・・・そんなあれこれを社会背景として感じつつ、なんとか開催できました。
はじめてだったけど、なんとかやれた。綱渡りの経験ではありましたが、振り返ってみて、ポイントは以下3つであったと感じています。
ひとつめは

  • 自分が参加して、体感してよいと思った講座の再設定だった

会場や日時の設定などでオロオロするなか、内容を覚えておけないようなものは、告知の段階で工数がふくらんでしまいます。妄想するだけの時間というのはいくらでも膨らむものです。今回は自分の経験記憶をベースに告知文章を作ればよかったので、ここがすごくラクでした。


ふたつめは

  • 数字のやり取り(変数の確定)をサクサクやれた

今回お願いした講師のかたは、ここをクイック・レスポンスで対応してくれました。無理なものは無理だというラインと根拠をすぐに提示してくれました。もともといくつかの係数(機材・材料の限界数など)が明確だったので、とてもやりやすかったです。「なんとかします!」という返答を脊椎反射でされると主催者側も質を担保する面で不安になるので、ここで妄想工数がふくらまなかったのがグッド・ポイントでした。計画が進めやすかったです。


みっつめは

  • 会場がすぐに決まった

もともとヨガクラスや座学を何箇所かでやっていたので会場案のストックはあるものの、講師・会場・自分の三者のスケジュールを調整しながら申請書を送ったり、そのための企画書を会場向けに作成して送ったり代金の振り込みをしたりということになると、また別の工数がかかります。今回はスタジオを運営している知人に、最大10人くらいで手芸をしたいのですが… と話をしてみるだけで「どうぞ〜。あら、ヨガじゃないのねw」くらいの軽さで内容を承諾してもらえたことがすごくありがたく、はじめの調整でいきなり扉が開いた感じがしました。


この3つがそろっていたから、なんとかやれたけど…。これがなければ、「やーめた」と、わたしはわりとあっさり判断したのではないかと思います。
ミスもありました。参加者の忘れ物ばかり気にして最後に講師のかたの忘れ物を見落としてしまったり、ドアを開けるためのボタンと離れた位置に受付台を設置してしまったり。講師のかた・会場のかたがフォローしてくれました。
講師のかに意図せぬプレッシャーを感じていたことにも、最後まで気づきませんでした。あとでご本人のInstagramを見たら「うちこヨガのブログを読んでご参加頂いたので、繕い方をお伝えするだけではなく、少々の笑いを取らなくては!と勝手にプレッシャーを感じ…」とあり、もし今後そのような機会が発生したら「無理に笑いを取りに行かなくても、大丈夫です」と事前にお伝えしておいたほうがよいことも学びました。


今回のことは、今年の夏にはじめてお会いした Ganga Moon Cafe のナオさんのすてきな仕事ぶりに感銘を受け、わたしもその一部分だけでもと思ってチャレンジしてみたというのが内面的な動機だったのですが、やはり彼女のようにセンスも人望のある人は呼吸をするようにすごい仕事をしている。それがありありとわかりました。
先日もバガヴァッド・ギーターの第3章13節を分解しながら思いを整理したところなのですが、自分にとっての義務の色合いというのはこのように、実践を通じて掘り当てていくものみたいです。




ほんとうに、経験しないとわからないことばかりでした。
今回は自分が楽しいと思った講座だったから、潜在的に興味のある人を集めるぞ! という思いでがんばってみたのですが、集まってくださったかたの顔ぶれから、おひとりは Ganga Moon Cafe のナオさんによる告知でおいでくださったことがわかり、結局影でアシストしてもらっちゃってたかぁ…、とさらに頭が下がるのでした。
こういう、人をつなぐセンスがある人というのは、いったいなんなのだろう…。自分にないものは、さっぱりわからんものです。