先日はじめて読んだ「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」がおもしろくて、これもまたイッキ読みしてしまいました。
女の中二病といったらそれまでになってしまいそうな精神状態の描写のなかにたまに挿入される "自分で自分を信用できない感じ" がたまらない。
このひと運転めちゃくちゃだけどまあこれでどうにかなるとしても、しょうがないか…と助手席に乗っていたらあっという間に目的地について、それが意外に感動する景色だった! というような読後感。なんだか最後にちゃんと気持ちの置きどころがある。ただのジェットコースターじゃないのがいい。
以下の箇所は、わたしがヨガのワークショップに生徒として参加するときに感じることと似ていて、「わー」となりました。
こんな健やかな心を持った人達と本当にうまくやっていけるのだろうか。トイレに入ったあたしは額に飾ってある『不器用だっていいじゃない、人間だもの』というオーナーの趣味に違いない相田みつをの句を読みながら自問自答した。
感じるんですよね…。こういうこと。講師もしてても、人間だもの。
こんなふうに感情の解凍を楽しめるのって、なんだかちょっとおもしろい。自分で自分を信用できない瞬間って、ふわっとしすぎててつかまえていられないし。
読んでいるときはしんどいのだけど、なんともいえない充実感の味わえる小説でした。