うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

シャンデリア 川上未映子 著


非日常の空間も、毎日通ったら慣れるものでしょうか。

わたしはあまりデパートへ行かないのですが、実際入るとその空間にいる自分の脳内言語がいつもと変わらなすぎて、視覚とのギャップで妙な感じになります。 美術館ではちゃんと美術館らしい脳内言語になるのに、デパートでそうならないのは、自分の中に「なんとなくいいものを探す」という設定がないからかもしれません。お金を払わないかもしれない人間が、歓迎されるわけがないしね。と心底思っている人間には、たいへん居づらい場所です。
でもこの話を読んだら、ちょっと平日の早い時間帯に百貨店へ行ってみたい気持ちになりました。



支払い能力があるということは、なんというか、さまざまな審査を飛び越えますね。
まるで裏口入学のようだ。なんてことを、この小説を読みながらふと思いました。
商品は客を選べない。店員も客を選べない。客もほかの客を選べない。
逆の視点では、選べないことだらけなのに。



主人公は、かなり大胆です。
主人公の言動によってわたしはスッキリしていいものだろうか? と戸惑うほど大胆です。
生きるだ死ぬだを抜きにしても、値踏みをされる日々の連続のなかにいれば、こういう気持ちになるのもすごーーーく、わかります。
が、どうにも大胆です。



それにしてもオイルアイシャドウって、なんだろう。知らなかったなぁ。アイシャドウが、オイルなの? それどういうことよ! ちょっと塗ってみたいじゃないの。…と思ったら、液体ではないようです。うわー、これは欲しくなるわ。
コスメというのは、ネーミングや説明文から妄想するまでが、最高に夢の時間ですね。
この小説も、文字を追っている間は夢の時間でした。
そして共感した自分の感覚を確認するときに、ズドーンときます。
夢と現実の配合が絶妙です。


▼電子のみだそうです

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