うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。 ジェーン・スー 著


Kindle版が出ていたのでさっそく買って読みました。この本は雑誌の連載がベースのようですが、言い回しがとにかくおもしろい!
共感するというよりも、同世代でもぜんぜん心身の老化・老成のしかたが違うのだなというところが印象に残りました。わたしは胃の老化が早かったのか、30代後半から野沢菜といっしょにお茶を飲んでいるので、ジェーン・スーさん胃袋若いな…、勢いがあってうらやましいな…と思いながら読みました。でもその直後に、これは長野や新潟の人に早く始まる現象ってだけかも…と思い、都会の胃袋の話にも見えてきました。いろいろ自分と比べて読むと興味深いトピックばかりです。


いくつかうなる話がありましたが、宝塚の世界を初めて見てからの分析がすばらしい。これはなるほど! と思いました。よく考えればわかりそうな盲点。この説明が、とにかくうまい。
ディズニーランドとヨガに対して感じる気持ちも、めちゃくちゃ共感。本編の順番とは逆になりますが、あえてこの順番で引用します。

私にとって見知らぬ人との笑顔の共有はガンジーの非暴力、不服従と同じくらい恐ろしいものですが、リピーターが9割を優に超えると言われる聖地に集う人々は、それこそが魅力だと言います。
(ナイトメア・イン・ザ・夢の国 より)



いや、これかなり偏見入っているのでヨギーのみなさんには申し訳ないのですが、誰もがキラキラとした目で同じように素晴らしさを語るなんて、それマルチ要素でもあるんじゃないの? と思ってしまう。
(ヨガってみたはいいけれど より)

このふたつの世界にジェーン・スーさんが感じる「恐れ」って、かなり鋭いところをついていると思うのです。ぜんぜん偏見じゃない。というか、こんなエクスキューズをしなければいけないと思わせるなにかがヨガにはあるとわたしも常々思っていたのですが、言語化できずにおりました。思わずインド非暴力の文字につられて、ディズニーとヨガへのなじめなさが同じ理由でひっかかってきました。
「ナイトメア・イン・ザ・夢の国」でジェーン・スーさんは

ディズニーの世界観は、日本へ輸入される際に必ずヤンキー液へちゃぷんと浸けられます。

と書かれています。これするどい! これだ! これだよ! ヨガが「おしゃれ系ヤンキー液」「ナチュラル系ヤンキー液」「慈善ヤンキー液」とか、そんなバリエーションに見えてきます。ヨガが「ヤンキー液の薄め液」に見えてきた。


ほかにもいろいろ刺さるところはあったのですが、中年になっても京都へ行こうという気分が心根から湧いてこず「精神的岐阜羽島をウロウロしている」のところで飲み物をこぼしかけました。
わたしもなんとなく手を出さない精神的岐阜羽島案件が多いのだけど、こんなふうに自己分析できたら楽しいだろうな。



★余談★
私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな」を2年前に読み、当時あまりの衝撃にひとりでは抱えきれず、ついヨガ仲間に手渡したら生徒さんを含む独身女性(6名)に次々回覧され、かつわたしが付箋に手書きでコメントをつける習慣が踏襲され、こんなにバッサバサになって戻ってきました。


「『アルマゲドン』を観て泣いている彼を、バカにした。」の章には「トップガンで」「タイタニックで」「ラスト・プレゼントで」と映画名と反省の弁を添えて自主する人続出。反省エンターテインメント、って感じがする。
どのエッセイもおもしろいです。


▼紙の本


Kindle


▼こっちは紙の文庫になってるー