うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

パウル・クレー だれにもないしょ。展(兵庫県立美術館)


大好きなパウル・クレーの展覧会「パウル・クレー だれにもないしょ。展」へ行ってきました。
学生の頃から好きだったわりにはそれまであまり作家の背景など気にせずにいたのですが、「多声楽 ポリフォニー」というくくりの展示でバイオリンを弾く人であったということを知り、この不思議な色の重なりや線描のバランスの理由を紐解かれたような気持ちになりました。

絵も仏像もよく観る関西の友人(彼女は運慶派・わたしは快慶派)と美術館で待ち合わせており、再会するなり「クレーって、好きな人は好きだよね。ちょっと中に仕掛けみたいなのがある人でしょ」「そうそう、快慶が仏像の中になにか仕込むみたいなの!」なんて言いながら入りました。なので赤外線で「中に隠された人」を説明してくれる展示では、「でたー」とヒソヒソ大いに盛り上がりました。

メモに「おしゃれな江戸川乱歩」と走り書きをしていました。そのとき思っていたのは、パウル・クレーの絵には「楽しいんだけど悲しい」とか「きれいだけどこわい」とか、「のどかだけど魔笛」というバランスがあたりまえにブレンドされていて、ヨーロッパの人が描いた絵なのに遠く感じない魅力がある。その要約が「江戸川乱歩」。「怖いのに楽しい」「変態なのに愛おしい」という経験が引き出された。
あらためてタイトルを見るとその言語感覚も独特で、『「三人」で遊ぶ』『境界の塔のある都市計画』『彼女は吠え、僕らは遊ぶ』『喜劇役者が落馬してみせる』『巣を発明した雌』『天使、まだ手探りをする』『魔が憑く』などの作品が印象に残りました。「設定」も含めて描かれているものが、学生の頃はぜんぜん想像ができていなかった。
これまではただ好きという感じでしか見ていなかったけれど、なんだかすごく大人向けだったのだな。と、中年から楽しむパウル・クレーの魅力を教えてもらったような展覧会でした。


この美術館は、入り口のこの感じがとても印象に残ります。

この展示は今週末までですが、この場所はいつもなんだかよい雰囲気です。