絶対行くぞ! と決めていた春画展へ行ってきました。
ひとりで行くつもリだったところへ、以前の仕事仲間の山さんが連絡をくれたので、一緒に行ってきました。
先に感想を述べますが、これ絶対行ったほうがいいです。ものすごく、笑えるのです。
おもしろポイントをリストしますと
- パロディっぷりがすごい
教科書や百科事典をパロディにしたエロ本的なものがあったりする。ペニス人間涅槃図、みたいなのがあったり、死んだ後に地獄で「おまえたちこんなことしてただろ」と鬼に性行為を鏡に投影されて責められている場面があったり、仏教ネタでこんなことしちゃうの?! というのまである。作品番号だと「31:陽物涅槃図」「28:地獄草紙絵巻」
伊勢物語を題材にした「49:伊勢物語俳諧まめ男夢想頭巾」というのもおもしろくて、「まめ男」ファンになってしまいました。
- 葛飾北斎のコピーワークがすごい
他の人が人間を描いているところに、大蛸・小蛸とまぐわう女性を描いているだけでもすごいのですが、
この周りの「書き入れ」「詞書(ことばがき)」という、マンガで言うとフキダシみたいなののコピーワークがとんでもなくすごい。葛飾北斎、ずば抜けてるなぁ、というのがこの展示の総合的な感想。ゲージュツもエロスもパロディもバクハツしすぎな感じ。(画像は絵葉書。もう買わずにはいられなかった。「73:喜能会之故真通(きのえのこまつ)」)
このサイトの「18歳以上の〜」をクリックするとコピーワークを見ることができます。
このほか、人間だけの交わりを描けば、髪の毛束感や着物の柄や差し色のバランスがほかの作家と圧倒的に違うオーラを放つ。葛飾北斎のダントツさに、とにかく惚れます。
- 喜多川歌麿の視点位置がすごい
同じ目の高さで描かれていて、この人の作品だけ格段に映画っぽいライブ感がある。カメラワーク、という感じがする。
- 足の指がすごい
足の指って、ヨガでもいちばんごまかせない部位。そこに「感じていることの描写」が込められている。着衣でしているものが多いのですが、足の指に出る本音は隠せない、というような。この時代の画家は、性の技巧もすごかったのではなかろうかと思うほど。
- 要するにカーマ・スートラ
春画の中に図本が描かれていて「これを見ながら、この体位で実践をしているところです」という絵が多かったり、結婚した人にプレゼントしたりというあたりに、カーマ・スートラ的な文化を感じる。
奢侈禁止令(しゃしきんしれい)といって、色数とか豪華さとか、贅沢っぽいの禁止! という流れがあった時代に、くすぶらせた腕(技術)が、裏で爆発している世界でもあるそう。そのほか、室町時代にすでに「放屁合戦」のマンガみたいなのがあったり、日本の歴史のおもしろくて封印されていたものがドカーンと大放出されています。
毛の縮れ描写の微細さがすごいとか、まら(この展示を観にいくと、いままで「リンガ」と言っていたのが、「まら」になる)を大きく描いているとか、たぶんそのあたりが印象に残るのかもしれませんが、この展示の見どころは、パロディのすごさ。
帰りに
いまの時代のほうが、なんだか窮屈じゃんか日本! ガオーーー
と叫びだしそうになる。
「うわぁ、綺麗」という技巧の絵をたくさん観られるだけでなく、設定がおもしろい。デザインの仕事をする人と行ったので、「この襟だけラメみたいなの、どうやったのかな」「貝じゃない?」とか、「敷物の遠近法がおかしい」「柄を描くためなら、遠近法は無視したそうなくらい凝ってる(笑)」などなど、細かすぎるトピックてんこ盛りで楽しみました。おもしろいよぉ。
▼雑司が谷と目白の間くらいのところでやってます
- SHUNGA 春画展(永青文庫 / 東京・文京区)
▼夏目漱石さんのお墓のある(ちなみにKもここ設定)雑司が谷霊園もおすすめ
- 護国寺と雑司が谷霊園へ行ってきました(6年前なので夏目漱石にハマる前でしたが、お墓の前には行ってました)