うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

嘆きの美女 柚木麻子 著


友人の読書録を見て気になり、読みました。
ネットで特定のサイトを執拗にウォッチする女性が主人公。はじめはウォッチされる側の気分と半々で読んで、ちょっと怖くなりました。
が、いっきに読ませるストーリーは接続がいろいろよくできていて、とにかく軽快。読みながら「これ最後、いいハナシな感じでうまくまとめるんだろうなぁ」とわかっているのだけど、その中にたまに挿入される心理描写がビビッド。

同性の友達がいない ──。「嘆きの美女」にはこの手のお悩みがよく書き込まれていたものだ。今ならわかるが、美貌が嫉妬を呼ぶせいではおそらくないだろう。女はそれくらいのことで女を嫌わない。ユリエのように ──。物欲しげな割には明確な意志や目標がなく、後ろ向きで、オチのない話を垂れ流すから敬遠されているだけだ。

明るいのにちょっとエグくて、多面的。
子供のころに赤川次郎小説をイッキ読みしまくっていたときのような感覚がよみがえりました。そのくらい、読む手が止まらない。


出だしのマインドは、1月に観た「百円の恋」という映画と似た設定なので、この映画で元気が湧いた人にもおすすめ。


嘆きの美女 (朝日文庫)
柚木麻子
朝日新聞出版 (2014-06-06)