うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

「浅き夢見し」「モデル失格」 押切もえ 著


ラジオでのトークのぎこちなさとその中にあるボキャブラリのギャップ、ブログでの割り切り、などなどのアウトプットのバリエーションが気になり、本を2冊続けて読んでみました。
まずは2013年の小説「浅き夢見し」

▼紙の本

Kindle

この小説は、大映ドラマ的世界なのでぐわーっとイッキ読みさせる。メンター的人物が登場したり、身体論や美容ネタが散りばめられていたりする。
わたしはこの小説を読んで「表情筋」がブームになりつつあります。乙女の心理描写が、シンプルでよいです。

仕事だとか、恋愛だとか、ひとつでもうまくいけばこの気持ちはなくなるんだろうか。行き場を失って膨らむ感情。爆発してしまえば楽かもしれないのに、そのきっかけになるような出来事もない。だから、普段の生活の中にこの感情をちびちびと垂れ流す。人を妬んだり、茶化すことで。
第2章の主人公心情吐露)


「やれること残してんのに勝手に暗い顔して、人に心配かけようとするなんて100年早いわよ。」
(第9章に登場する人物からのお叱りセリフ)

現役の雑誌モデルが書いた小説として、ちゃんと真ん中を射抜いてくる感じに、「この人、まじめだ…」と感じる。



次は、2009年に書かれた新書。(新書の「新」の定義がいつもよくわからない)

▼紙の本

Kindle


これは完全に自己啓発書っぽい。
サブタイトルが「幸せになるためのアティチュード」で、とにかく「ポジティブ! ポジティブ! ポジティブ!」のトーン。この頃は、たぶん時代がそういうのを求めていたのでしょう。

「ドライ」というと響きがいいですが、言い換えれば「あきらめが早い」ということ。それは恋愛に対してだけじゃなく、部活や苦手な科目、友達や先生との関係など、「だめかも」と感じてしまったら、もうそこで終わり、でした。そんなクセって、一度ついてしまうとなかなか取れないものなんです。
(76ページ)

こういうコメントもありつつ、どの章もオチは「ポジティブ! ポジティブ! ポジティブ!」。
でも4年後には小説の中で、ネガティブをうまく描いてる。


この人は、美人じゃなければ女性版の蛭子さんみたいな人になっていたのではないか、という妄想の広がる2冊。美人を演じきれない感じの表現に、なにかがある。特に小説のほうは『「好きで入った世界ではあるけど、正直エグいわ〜」なんて、絶対自分名義のコメントではひとことも言えないわ〜』という感じがおもしろいです。
人は、演じながら生きているのだ。ということを実感させられることが励みになる。そういうことって、ありませんか。わたしはあります。